「自分のタスク」だけ見ている?チーム全体の目標達成に繋がる主体的な行動
社会人として働き始め、目の前のタスクを一つずつこなすことに集中されている方は多いかと思います。指示された業務を正確に、期日通りに完了させることは、プロフェッショナルとして非常に重要であり、素晴らしい姿勢です。しかし、時間が経つにつれて、「指示がないと次に何をすれば良いか分からない」「自分の仕事がチーム全体の役に立っているか実感しにくい」と感じることはないでしょうか。
これは、「自分の担当タスク」という点に意識が向きすぎている場合に起こりがちな感覚です。チームで働く上では、個々人のタスクはすべて、より大きな「チーム全体の目標」に繋がっています。このチーム全体の目標を意識し、自分のタスクをその目標達成の一部として捉えることで、指示待ちの状態から脱却し、より主体的に、そしてチームに貢献している実感を持って働くことができるようになります。
なぜ「自分のタスクだけ」ではもったいないのか
自分のタスクをきちんとこなすことは、もちろん基本中の基本です。しかし、それだけに留まっていると、以下のような課題に直面する可能性があります。
- 視野が狭まる: 自分の担当範囲外で発生している問題や、チーム全体の進捗の遅れに気づきにくくなります。
- 指示待ちになりやすい: 自分のタスクが終わった後、次に何をすべきか判断するための材料がないため、上司やリーダーからの指示を待つしかなくなります。
- 貢献実感が得にくい: 自分のタスクがチーム全体の成果にどう繋がっているのかが見えづらいため、日々の業務が単調に感じられたり、貢献を実感しにくくなったりします。
- 成長の機会を逃す: 自身の担当範囲を超えた業務に関わる機会が減り、新しいスキルや知識を習得する機会が失われる可能性があります。
チームの一員として最大限の力を発揮し、自身の成長にも繋げるためには、「自分のタスク」と「チーム全体の目標」を常に意識しながら働くことが重要です。
チーム全体の目標を理解するための第一歩
では、どのようにしてチーム全体の目標を理解し、自分のタスクと紐付けていけば良いのでしょうか。具体的なステップをいくつかご紹介します。
1. チームの目標や目的を確認する
まずは、あなたのチームが何を目指しているのか、共通の目標やプロジェクトの目的は何なのかを明確に把握することから始めます。
- 会議での共有: プロジェクトのキックオフ会議や定期的なミーティングで、チームの目標が共有されるはずです。その際に、単に聞き流すのではなく、「なぜその目標なのか」「目標達成のためにチームとして何に取り組むのか」をしっかりと理解しようと努めます。
- ドキュメントの確認: プロジェクト計画書、仕様書、目標設定シートなど、チームの目標や計画が記載されたドキュメントがあれば、積極的に目を通します。
- 上司やリーダーへの質問: もし目標が不明瞭な場合や、自分の理解に自信がない場合は、遠慮なく上司やリーダーに質問してみましょう。「私たちのチームの今期の目標は何でしょうか?」「このプロジェクトの最終的な目的は何でしょうか?」といった質問は、主体的な姿勢を示すことにも繋がります。
2. 自分のタスクが目標にどう貢献するかを考える
チーム全体の目標を理解したら、次に自分が担当している個々のタスクが、その目標達成にどのように貢献するのかを考えます。
- タスクの背景と目的を深掘り: 指示されたタスクについて、「なぜこのタスクが必要なのか」「このタスクが完了することで、チームの何が前進するのか」といった背景や目的を考える癖をつけます。
- 貢献の経路を想像: 例えば、あなたが担当する資料作成タスクが、チームのプレゼンテーション資料の一部であるならば、「この資料の質が、プレゼンテーションの成功、ひいては顧客からの受注(チーム目標)に繋がる」といった貢献の経路を具体的に想像してみます。
このように、自分のタスクとチーム目標を紐付けることで、単なる作業としてではなく、意味のある貢献としてタスクに取り組む意識が高まります。
チーム全体のタスク状況を把握する
自分のタスクとチーム目標の繋がりが見えてきたら、次に視野を広げ、チーム全体のタスク状況を把握することを目指します。
1. タスク管理ツールを活用する
多くのチームでは、JiraやAsana、Trelloといったタスク管理ツールを使用しているかと思います。これらのツールには、チームメンバーそれぞれの担当タスクや進捗状況が可視化されています。
- 定期的なチェック: 自分のタスクだけでなく、チーム全体のタスクリストやカンバンボードなどを定期的にチェックする習慣をつけましょう。
- 他のメンバーの状況を把握: 誰がどのようなタスクを担当しており、どの段階にあるのかを把握します。これにより、チーム全体のボトルネックになりそうな箇所や、自分がサポートできそうなタスクが見えてくることがあります。
2. 朝会や定例ミーティングを活用する
日々の朝会や定例ミーティングは、チーム全体の状況を共有する貴重な機会です。
- 耳を傾ける: 自分の報告だけでなく、他のメンバーの報告内容にも注意深く耳を傾け、チーム全体の進捗や課題を理解するよう努めます。
- 積極的に情報収集: 質問や確認が必要な場合は、積極的に発言して情報を収集します。
3. チームメンバーとのコミュニケーション
非公式なコミュニケーションも重要です。休憩時間や業務の合間に、チームメンバーと軽い会話をすることで、タスクの状況や抱えている課題について自然と情報交換ができることがあります。
- 気軽に声かけ: 「あのタスク、どうですか?」「何か手伝えることはありますか?」といった声かけは、チーム内の連携を深めるだけでなく、自身の情報収集にも繋がります。
全体が見えた上で、主体的に行動する具体的なステップ
チーム全体の目標とタスク状況が把握できるようになったら、いよいよ主体的な行動に移る準備が整いました。
1. 先回りして必要な情報や準備を進める
自分の担当タスクに着手する前に、そのタスクが次の工程や他のメンバーのタスクにどう影響するかを考え、必要に応じて前もって準備を進めます。
- 必要な情報の特定と収集: 自分のタスクを完了するために必要な情報だけでなく、そのタスクの成果物を使う他のメンバーがスムーズに作業できるよう、関連情報や補足事項も合わせて準備することを検討します。
- 影響範囲の確認: 自分のタスクの変更が、他のタスクやシステム全体にどのような影響を与える可能性があるかを事前に考え、懸念点があれば早めに共有します。
2. 課題や改善点に気づき、提案する
チーム全体の状況を把握していると、計画通りに進んでいない部分や、もっと効率化できる点に気づくことがあります。
- 小さな気づきを大切に: 「〇〇のデータが不足しているかもしれない」「この手順は△△というリスクがあるのでは」「□□すればもっとスムーズに進むのではないか」といった小さな気づきを無視せず、メモしておきます。
- 建設的な提案: 気づいた課題や改善点について、解決策と合わせて上司やチームメンバーに提案してみましょう。その際は、「~が△△なので、□□のようにしてみてはいかがでしょうか?」のように、現状の課題とその解決策をセットで伝えることで、より建設的な提案となります。
3. チームの課題解決に貢献するタスクを見つける、または引き受ける
チーム全体のタスクや課題が見えていると、「これは誰かがやらなければならないが、まだ担当が決まっていない」といったタスクや、「あの人が困っているようだから手伝えるかもしれない」といった状況に気づくことができます。
- 未割り当てタスクへの着手: チーム全体のタスクリストを確認し、重要であるにも関わらず担当者が決まっていないタスクがあれば、自ら手を挙げて担当することを検討します。
- 他のメンバーのサポート: チームメンバーの進捗が遅れている場合や、特定のスキルが必要なタスクで困っている様子が見られた場合、積極的にサポートを申し出ます。
もちろん、自分の担当タスクを疎かにしてまで行うべきではありません。自分のキャパシティを把握し、対応可能であればという前提です。上司に相談し、優先順位や担当範囲を調整してもらうことも重要です。
主体的な行動がもたらすもの
チーム全体の目標を意識し、主体的に行動することは、チームへの貢献に繋がるだけでなく、あなた自身にも多くのメリットをもたらします。
- 貢献実感とモチベーション向上: 自分の仕事がチーム全体の成果に直接繋がっていることを実感でき、より高いモチベーションを持って業務に取り組めます。
- 視野の拡大とスキルアップ: 自身の担当範囲を超えた業務に関わることで、新しい知識やスキルを習得し、ビジネスパーソンとしての幅が広がります。
- 信頼と評価の向上: チーム全体のことを考えて行動できる人材として、上司やメンバーからの信頼を得やすくなります。結果として、評価にも繋がりやすくなるでしょう。
- 指示待ちからの卒業: 自分で考えて行動する習慣が身につき、指示がなくても次に何をすべきか判断できるようになります。
まとめ
「自分のタスクだけ」をこなすことから一歩進み、チーム全体の目標や状況を意識することは、若手ビジネスパーソンが指示待ちから卒業し、主体的なフォロワーシップを発揮するための重要なステップです。
チームの目標を理解し、自分のタスクとの繋がりを考えること。そして、チーム全体のタスク状況を把握し、先回りした準備や課題解決への貢献を意識すること。これらはどれも、今日から実践できる具体的な行動です。
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは、今日の会議で話されたチームの目標をメモすることから始めてみる、タスク管理ツールを少しだけ広く見てみる、といった小さな一歩から試してみてください。あなたの主体的な行動は、きっとチーム全体の力となり、あなた自身の成長にも繋がるはずです。