「自分の担当外」の業務でも貢献!チームの「困った」に気づく主体的なフォロワーシップ
新社会人として、あるいは社会人経験が浅い段階では、まず自分の担当業務を正確に、期日通りにこなすことが重要です。指示されたタスクを完璧に遂行することは、プロフェッショナルとしての基礎であり、チームからの信頼を得る第一歩となります。
しかし、自身の成長やチームへのより大きな貢献を目指す上で、もう一歩進みたいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。「言われたこと」をこなすだけでなく、自分から働きかけたり、チーム全体の成果に貢献したりすることに関心があることでしょう。
その際、「自分の担当外」の業務にどのように関われば良いのか、どこまで踏み込んで良いのか、迷うこともあるかもしれません。本記事では、自分の担当領域にとどまらず、チーム全体の状況や課題に目を向け、「困った」に気づき、主体的に貢献していくためのフォロワーシップの実践方法について具体的に解説します。
「自分の担当外」に目を向けることの重要性
なぜ、自分の直接の担当ではない業務やチーム全体の状況に目を向ける必要があるのでしょうか。
それは、チームとして成果を出すためには、個々のタスク遂行だけでなく、メンバー間の連携、情報の共有、そして予測不能な問題への対応が不可欠だからです。あなたの担当業務が、チーム全体のどの部分に繋がり、誰のどのような作業に影響を与えるのかを理解することは、自身のタスクの質を高めるだけでなく、チーム全体の効率と成果に貢献します。
また、周囲の状況に注意を払うことで、まだ顕在化していない小さな課題や、他のメンバーが抱える潜在的な「困った」に気づくことができます。これに対して主体的に関わることは、チームのピンチを未然に防いだり、より良い方向へ導いたりするための重要なフォロワーシップの実践となります。
チームの「困った」に気づく第一歩:視野を広げる習慣
では、具体的にどのようにすれば、自分の担当外の「困った」に気づくことができるのでしょうか。それは、日頃から意識的に視野を広げる習慣を持つことから始まります。
1. チームメンバーの状況に関心を持つ
会議中の発言、チャットツールでのやり取り、日々の進捗報告など、チームメンバーがどのような課題に直面しているのか、どのような情報に関心を持っているのかに注意を払ってみてください。直接話を聞く機会があれば、「〇〇さんの業務は順調ですか?」「何か手伝えることはありますか?」といったシンプルな問いかけも有効です。
2. 関連する業務や他部署の動きを把握する
自分のタスクが完了した後、その成果物がどのように使われるのか、あるいは自分のタスクの前にどのようなプロセスがあるのかに関心を持つことが重要です。関連する他部署の動きや、プロジェクト全体のスケジュール、目的などを把握することで、自分の担当業務が全体のどの位置づけにあるのかを理解でき、そこからチーム全体の課題が見えてくることがあります。
3. 会議や情報共有の場を「聞くだけ」で終わらせない
会議や情報共有の場では、単に指示や情報をインプットするだけでなく、「今、チームやプロジェクトで最も重要な課題は何だろうか」「自分が関わっている業務は、この課題とどう関連するだろうか」といった視点で話を聞いてみてください。発言者の言葉の背景にある意図や、言葉にはなっていない懸念を感じ取ることが、気づきにつながります。
4. ドキュメントや議事録を「読むだけ」で終わらせない
共有されている仕様書、設計書、議事録などを積極的に読みましょう。自分の担当外の部分であっても、チーム全体のコンテキストを理解する上で非常に役立ちます。疑問点があればそのままにせず、質問や確認を行うことで、自身の理解を深めると同時に、ドキュメント自体の曖昧さに気づくこともあります。
気づいた「困った」に主体的に関わる具体的なアクション
チームの「困った」や課題に気づいたら、次にどうすれば良いのでしょうか。必ずしも自分で全てを解決する必要はありません。状況に応じた主体的な関わり方があります。
1. 情報収集と状況確認を行う
「これは気になるな」「〇〇さんが困っているかもしれない」と感じたら、まずはその状況に関する情報を集めたり、関係者に優しく状況を確認したりしてみましょう。いきなり解決策を提案するのではなく、「何か手伝えることはありますか?」「この情報が必要ですか?」といったサポートの姿勢を示すことが大切です。
2. 自分にできる小さな貢献を提案する
気づいた課題に対して、自分ができる範囲で貢献できることがないか考えてみましょう。例えば、 * 関連する情報の提供 * 簡単な資料の作成や整理 * 一時的な調査や確認作業の代行 * 他のメンバーへの橋渡しや連携のサポート * 使用頻度の低い共有ツールの簡単な整理
「私の担当ではないのですが、何かお役に立てることがあればお声がけください」といった伝え方で、貢献の意思を示すことも有効です。
3. 課題を適切な人に共有・報告する
自分自身で解決することが難しい、あるいは自分の担当範囲を超える課題である場合、その存在を適切なリーダーやチームメンバーに共有することが重要です。単に問題を指摘するだけでなく、「〜という状況のようですが、△△に関わる可能性があるかもしれません」「もしかしたら、今後〇〇といった影響が出るかもしれません」といった形で、自身の気づきや懸念を具体的に伝えることを心がけてください。これは、チームが早期に問題に対処するための貴重な情報提供となります。
4. 解決策の提案を検討する(小さなことから)
もし可能であれば、課題に対する自分なりの解決策や改善案を考えてみても良いでしょう。ただし、これはあくまで提案であり、完璧なものである必要はありません。例えば、「この作業は〇〇というツールを使うともっと効率化できるかもしれません」「この情報はこの場所にまとめておくと、みんなが見つけやすくなると思います」といった、小さくても具体的な改善提案は、チームの効率向上に貢献します。
主体的な関わり方とフォロワーシップ
これらの「自分の担当外」への主体的な関わりは、まさにフォロワーシップの一形態です。フォロワーシップは、単にリーダーの指示に従うことではなく、チーム全体の目標達成に向けて、自律的に考え、行動し、リーダーや他のメンバーを積極的に支援・補完する行動を指します。
自分の担当外に目を向け、課題に気づき、貢献しようとすることは、チーム全体の成果を最大化しようとする強い意志の表れです。これはリーダーを孤立させず、チーム力を底上げするために不可欠な役割と言えます。
実践のポイントと次のステップ
「自分の担当外」に目を向け、主体的に関わることは、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、以下のポイントを意識することで、一歩ずつ進むことができます。
- まずは「気づく」ことから: 最初から全てを解決しようとせず、まずは「もしかしたら、ここが課題かもしれない」と気づく感度を養うことに注力しましょう。
- 完璧を目指さない: 小さな貢献でも構いません。自分にできる範囲で、チームのために役立つことを考え、実行してみましょう。
- コミュニケーションを大切に: 気づいたことや考えたことは、一人で抱え込まず、適切な方法でチームメンバーやリーダーに伝えてみましょう。
- 学びと捉える: うまくいかないことがあっても、それはチームや業務理解を深める良い機会です。恐れずに挑戦し、そこから学びを得ましょう。
自分の担当業務をしっかりこなすことは土台です。その土台の上に、「自分の担当外」にも目を配り、チーム全体の「困った」に気づき、主体的に貢献しようとする姿勢を持つことで、あなたはチームにとって、そして自身のキャリアにとって、かけがえのない存在になっていくはずです。
今日から、会議での聞き方、チームメンバーへの声かけ、共有ドキュメントの読み方など、日々の業務の中で少しだけ視野を広げてみませんか。きっと、新たな気づきと貢献の機会が見つかるはずです。