エラーやバグ発生!落ち着いて主体的に対応するフォロワーシップ
日々の業務において、システムエラーやバグの発生は避けられない出来事です。予期せぬトラブルに直面すると、どのように対応すれば良いか分からず、つい指示を待ってしまうという経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、このような状況は、主体的なフォロワーシップを発揮し、チームへの貢献を実感する絶好の機会でもあります。
この記事では、システムエラーやバグが発生した際に、指示待ちにならず、落ち着いて主体的に対応するためのフォロワーシップの実践方法を具体的なステップに沿って解説します。
エラー・バグ発生時こそ問われる主体的なフォロワーシップ
システムエラーやバグは、チーム全体の業務に影響を及ぼす可能性があります。このような緊急性の高い状況では、誰かがリーダーシップを発揮して指示を出すことも重要ですが、メンバー一人ひとりが主体的に状況を把握し、自ら考え、行動することが早期解決につながります。
ここで発揮されるのが「フォロワーシップ」です。フォロワーシップは単に指示に従うことではなく、チームの目標達成のために自律的に考え、リーダーを補佐し、チームに積極的に貢献する姿勢を指します。エラーやバグ対応においては、この主体的なフォロワーシップが、チームの混乱を抑え、迅速な復旧を可能にする重要な要素となります。
具体的な実践ステップ:エラー・バグ対応で主体性を発揮する
それでは、実際にエラーやバグが発生した際に、どのように主体的なフォロワーシップを発揮できるのか、具体的なステップを見ていきましょう。
ステップ1:冷静な状況把握と初期対応
エラーやバグに気づいたら、まずは落ち着いて状況を把握することが重要です。パニックにならず、冷静に対応することが、正確な情報収集と次の行動につながります。
- エラーメッセージの確認: 表示されているエラーメッセージ、ログ、画面の状況などを詳細に確認します。どのようなメッセージが表示されているか、いつ、どこで、どのような操作をしたときに発生したのかを記録します。
- 影響範囲の推定: 発生したエラーがどの範囲に影響しているかを可能な範囲で推定します。特定のユーザーか、全体か、特定の機能だけか、サービス全体かなど、影響の大きさを把握しようと努めます。これは、その後の対応の優先順位や緊急度を判断する上で重要な情報となります。
- 関係者への迅速な第一報: 状況を把握したら、速やかに上司やリーダー、関連するチームメンバーに第一報を入れます。「いつ」「どこで」「何が起きたか」「現時点で分かっていること(エラーメッセージ、影響範囲の推定など)」を簡潔かつ正確に伝えます。この迅速な報告自体が、チームの状況共有と初期対応を早める主体的な行動です。
ステップ2:情報収集と原因調査への着手
第一報を入れた後、指示を待つ間に自分自身でできることがあります。原因特定や解決の糸口を見つけるための情報収集や調査への着手です。
- 関連情報の参照: エラーログ、システムの監視データ、関連する仕様ドキュメント、過去のインシデント報告、FAQなどを参照し、発生事象に関する情報を集めます。
- 可能な範囲での自己調査: エラーの再現手順を試したり、特定の操作が原因か切り分けを行ったり、疑わしい箇所のコードや設定を確認したりと、自分自身で可能な範囲での調査を行います。デバッグツールや監視ツールが使える場合は、それらを活用します。
- 必要な情報の特定と準備: 調査を進める中で、他のメンバーや専門家の助けが必要だと判断した場合、質問に必要な情報(エラーの詳細、試したこと、分からない点など)を事前に整理しておきます。闇雲に質問するのではなく、ある程度自分で調べてから質問する姿勢は、協力者にとってスムーズな対応を助けるフォロワーシップです。
ステップ3:発見した情報の共有と提案
調査によって得られた情報を、チーム内で共有することも重要な主体的な行動です。また、可能であれば、考えられる原因や次のアクションの提案も加えます。
- 調査状況と結果の共有: 調査で分かったこと、試したこと、分からなかったことなどを、随時チームや関係者に共有します。これにより、チーム全体の状況認識が揃い、重複した調査を防ぐことができます。
- 原因や次の一手の提案(報連相+α): 情報共有の際に、単に事実を伝えるだけでなく、「おそらくこれが原因ではないか」「次に〇〇を試してみてはどうか」といった、自身の考えや提案を添える意識を持ちます。これは、指示待ちからの脱却の具体的な一歩であり、チームの意思決定や対応速度向上に貢献します。提案はあくまで現時点での可能性として伝え、独断で判断しないことも大切です。
ステップ4:復旧・解決に向けた主体的な関与
原因が特定され、復旧や修正の作業が始まったら、指示されたタスクだけでなく、チーム全体の目標達成(サービス復旧、問題解決)に貢献する視点で主体的に関与します。
- 作業への積極的な協力: 修正コードのテスト、検証環境での動作確認、関連する他のシステムのチェックなど、自身のスキルや役割の中で協力できる作業に積極的に手を挙げます。
- 進捗の確認と報告: 担当タスクだけでなく、関連する他のメンバーの進捗にも気を配り、必要に応じて状況を確認し、遅れなどがあれば関係者に報告・相談します。
- ドキュメント化への協力: 解決策や回避策が定まったら、それをドキュメントとして記録に残す作業に協力したり、自ら草稿を作成したりします。これは将来同じ問題が発生した際に、チーム全体が迅速に対応できるようになるための重要な貢献です。
ステップ5:再発防止策の検討と共有
問題が解決した後も、主体的なフォロワーシップの機会は続きます。発生した事象から学び、次に活かすための取り組みです。
- 事後レビューへの参加と貢献: インシデント発生後のレビュー会議などに積極的に参加し、問題発生の根本原因や、対応プロセスでの課題、改善点などについて自身の視点から貢献します。
- 再発防止策の提案: 根本原因に基づき、コードの改善、テスト項目の追加、監視体制の強化、手順の見直しなど、具体的な再発防止策について自身の考えを提案します。
- 知見の共有: 今回の経験で得られた学びや、対応で役立った情報などをチーム内で共有し、ナレッジとして蓄積されることに貢献します。
主体的なエラー・バグ対応がもたらすもの
エラーやバグ発生時に主体的に対応することは、個人の成長とチームへの貢献の両面で大きな意味を持ちます。
- 個人の成長: 問題解決能力、技術的な知識、コミュニケーション能力、ストレス耐性など、エンジニアとして、ビジネスパーソンとして必要な多くのスキルが磨かれます。
- チームへの貢献: 問題の早期発見と早期解決、チームの混乱防止、技術的なナレッジの蓄積、そして何より、困難な状況でも頼りになるメンバーとしての信頼を獲得できます。
まとめ
システムエラーやバグの発生は、誰もが避けたい状況かもしれません。しかし、このような時こそ、指示待ちにならず、落ち着いて主体的に行動することが、あなた自身の成長に繋がり、チーム全体の力となります。
今回ご紹介したステップは、特別なスキルを必要とするものではありません。まずは「冷静に状況を把握する」「分かったことをすぐに報告・共有する」「自分で調べられる範囲で調べてみる」といった、一つひとつの小さな行動から始めてみてください。
エラーやバグへの対応を通して発揮されるあなたの主体的なフォロワーシップは、チームの信頼を高め、あなたがチームにとって不可欠な存在となるための一歩となるはずです。