言われた業務から『学び』を見つけ出す。主体的なフォロワーシップで成長を加速する方法
社会人として仕事に取り組む中で、上司や先輩からの指示を受けてタスクを遂行する機会は非常に多いでしょう。指示通りに正確にタスクを完了させることは、ビジネスの基本であり、非常に重要なスキルです。
しかし、「言われたことだけをこなす」という状態が続くと、ある段階から自身の成長が鈍化しているように感じたり、業務に対するモチベーションを維持しにくくなったりすることがあります。それは、単に「タスクをこなす」ことと、「タスクから学びを得る」ことの間には大きな違いがあるためです。
指示された業務から主体的に学びを見つけ出すことは、自身の成長を加速させるだけでなく、チーム全体の知識や成果に貢献することにも繋がります。これこそが、受け身ではない「主体的なフォロワーシップ」の一つの形と言えるでしょう。
この記事では、日々の業務の中からどのように学びを見つけ出し、それを自身の成長とチームへの貢献に繋げていくか、その具体的なステップと考え方についてご紹介します。
なぜ、指示された業務から「学び」を見つける必要があるのか?
単に指示をこなすだけでなく、そこから学びを得る姿勢が重要な理由はいくつかあります。
- 自己成長の加速: 与えられたタスクの背景や目的、関連知識を理解しようと努めることで、表面的な作業に留まらず、より深いレベルでの知識やスキルが身につきます。これは、将来的に自分で考えて行動するための土台となります。
- 視野の拡大: 自分の担当タスクが、チームやプロジェクト全体のどの部分に関わっているのかを意識することで、仕事の全体像が見えるようになります。これにより、自身の役割をより深く理解し、より効果的に貢献する方法を考えるきっかけが生まれます。
- 問題解決能力の向上: タスク遂行中に発生した小さな問題や疑問に対して、「なぜだろう?」と立ち止まり、原因や解決策を考える習慣がつきます。これが、将来的に複雑な問題に直面した際にも対応できる能力を養います。
- 主体性の醸成: 「言われたからやる」から「これを機会に学ぼう」という意識に変わることで、業務への主体性が生まれます。これにより、やらされ感が減り、仕事に対するモチベーション維持にも繋がります。
- チームへの貢献力向上: 個々人が業務から得た学びを共有することで、チーム全体の知識レベルが向上し、生産性や品質の改善に繋がります。これは、まさに主体的なフォロワーシップの実践と言えるでしょう。
日々の業務から「学び」を見つけ出す具体的なステップ
では、具体的にどのようにすれば、指示された業務から学びを最大化できるのでしょうか。ここでは、実践しやすい4つのステップをご紹介します。
ステップ1:指示の「背景」と「目的」を深く理解する
タスクの指示を受けたら、単に作業内容を聞くだけでなく、その背景や目的について理解を深めるよう努めましょう。
- 「なぜ、このタスクが必要なのですか?」
- 「このタスクは、最終的に何に繋がるのですか?」
- 「この成果物は、誰がどのように利用するのですか?」
このような問いを自分自身に投げかけたり、必要であれば指示者に質問したりすることで、タスクが持つ意味や価値を理解することができます。目的が分かると、単なる作業ではなく、「何のために、どのような結果を目指して取り組むのか」という意識が生まれ、主体的に品質を高めよう、効率を上げようという意欲に繋がります。これは、以前の記事でも触れた「報連相+α」の考え方とも通じます。
ステップ2:タスク遂行プロセスを「観察」し、振り返る
タスクを実行している最中や完了後に、自身の行動やその結果を客観的に観察し、振り返る習慣を持ちましょう。
- 「どのような手順で進めたか?」
- 「なぜこの手順を選んだか?他に方法はなかったか?」
- 「予定通りに進んだか?遅延や手戻りはあったか?それはなぜか?」
- 「使ったツールや情報で、新しい発見はあったか?」
- 「期待通りの結果になったか?ならなかった場合、原因は何か?」
このようにプロセスを分解し、自身の思考や行動、外部要因などを振り返ることで、うまくいった点、改善が必要な点、新しい知識などを具体的に洗い出すことができます。特に、エラーや失敗が発生した際には、それを単なる「失敗」として片付けるのではなく、「なぜ起きたのか?」「どうすれば防げたのか?」を深く探求することで、大きな学びを得ることができます。
ステップ3:得られた「情報」や「経験」から示唆を見出す
ステップ1と2で得られた背景情報、目的、そして自身の経験(うまくいったこと、失敗したこと、気づき)を総合して、そこから汎用的な「学び」や「示唆」を見出すことを意識しましょう。
- このタスクを通じて、どのような知識(技術、業務知識、業界知識など)が身についたか?
- どのようなスキル(情報収集、分析、コミュニケーション、ツールの使い方など)が向上したか?
- 仕事の進め方について、どんな新しい発見や改善点があったか?
- 今回の学びは、他の業務や今後起こりうる状況にも応用できるか?
- 次に同じようなタスクが来た場合、どうすればより良くできるか?
これは、個別の「点」の情報を、「線」や「面」として捉え直す作業です。例えば、特定の技術調査を通じて「〇〇という情報の調べ方のコツ」を掴んだとすれば、それは他の技術調査にも応用できる学びとなります。クライアントへの報告書作成で手戻りがあった経験から、「確認すべき重要事項のチェックリスト」を作成するとすれば、それは今後の報告書作成全体の効率化に繋がる学びとなります。
ステップ4:見出した「学び」を記録し、共有する
見つけ出した学びは、頭の中に留めておくだけでは忘れ去られてしまう可能性があります。また、学びを自分だけのものにせず、チーム内で共有することで、その価値は飛躍的に高まります。
- 学びを記録する: 個人のメモツール、ドキュメント、日報などに、学んだこと、気づき、次に活かしたいことを具体的に記録しておきましょう。後から見返せるように整理しておくことが大切です。
- 学びを共有する: 朝会での簡単な共有、チーム内のチャット、共有ドキュメントへの追記、勉強会の提案など、可能な範囲で学びをチームメンバーに発信してみましょう。他のメンバーからのフィードバックや、さらに深い議論に繋がることもあります。
学びを共有する行為は、チーム全体の知見向上に貢献するだけでなく、「自分もチームに貢献できている」という実感を得る機会にもなります。これは、フォロワーシップを発揮する上での重要なモチベーションとなり得ます。
主体的なフォロワーシップと「業務からの学び」の繋がり
これらの「業務から学びを見つけ出す」ステップは、そのまま主体的なフォロワーシップの実践に繋がります。
- 指示の背景・目的理解は、チームの目標を理解し、自身の役割を位置づける行為です。
- プロセスを観察し、振り返ることは、より良く貢献するために自身の行動を改善しようとする姿勢です。
- 学びから示唆を見出すことは、チームの課題解決や改善に繋がる可能性を秘めています。
- 学びを記録・共有することは、チーム全体の成長を促進する貢献です。
これら全ての行動は、指示を待つだけでなく、チームの一員として能動的に関わり、貢献しようとするフォロワーシップの現れなのです。
まとめ
指示されたタスクを正確にこなすことは、確かに重要です。しかし、そこに「この業務から何を学べるだろう?」という主体的な視点を加えることで、日々のルーチンワークが自身の成長機会へと変わります。
指示の背景理解、プロセス観察、学びの抽出、そして共有というステップを意識することで、あなたは単なる作業者としてではなく、常に学び、成長し続ける貢献者へと進化していくことができます。
今日から、次に指示されたタスクに対して、「これはどんな学びの機会だろう?」と考えてみてはいかがでしょうか。その小さな意識の変化が、あなたの成長を加速させ、チームへの貢献度を高める大きな一歩となるはずです。