自分の「得意」を見つけ、チーム貢献に繋げるフォロワーシップ
「指示されたことはしっかりとこなせるけれど、自分からどう動けばチームに貢献できるのか、いまひとつ分からない」
そう感じている若手ビジネスパーソンの方は少なくないかもしれません。特に社会人経験が浅い時期は、与えられたタスクを正確に遂行することに意識が向きがちです。しかし、チームの一員としてより深く関わり、自分の存在価値を感じたいという思いもあるのではないでしょうか。
チームへの貢献方法は一つではありません。与えられた役割を果たすだけでなく、自らの持つ能力や知識を活かして能動的に関わること、これが「主体的なフォロワーシップ」の実践に繋がります。そして、その主体的な関わりのヒントは、実は皆さんが既に持っている「得意なこと」の中に隠されています。
この記事では、自分の「得意なこと」を見つけ、それをチームへの貢献に繋げる具体的な方法をご紹介します。指示を待つだけでなく、あなた自身の強みを活かしてチームに良い影響を与えるための一歩を踏み出しましょう。
自分の「得意なこと」がチーム貢献に繋がる理由
なぜ、自分の得意なことがチーム貢献や主体的なフォロワーシップに繋がるのでしょうか。それにはいくつかの理由があります。
まず、得意なことは、あなたが少ない労力で高いパフォーマンスを発揮しやすい領域です。この領域で力を発揮することは、チーム全体の効率や成果の向上に直接繋がります。
次に、得意なことを活かすことは、あなた自身のモチベーションやエンゲージメントを高めます。好きなことや得意なことで貢献できるという実感は、仕事へのやりがいを深め、「もっとチームに貢献したい」という前向きな意欲を生み出します。
そして何より、得意なことを活かして自ら動くことは、指示を待つのではなく、自分自身の判断で価値を生み出す行為そのものです。これは、主体性の核となる部分であり、チームにおけるあなたの存在感を高めることにも繋がります。
自分の「得意」を見つける第一歩
では、具体的に自分の得意なことや強みはどのように見つけたら良いのでしょうか。特別で高度なスキルだけが得意なことではありません。日々の業務や過去の経験の中に、必ずヒントがあります。
- 過去の成功体験や褒められた経験を振り返る: これまでに「うまくいった」「褒められた」と感じた経験を思い出してみてください。どんな状況で、何をどのように行いましたか。その時、自然とできていたこと、人から評価された点は、あなたの得意なことである可能性が高いです。
- 人からよく相談されること、自分が当たり前にできること: 周囲の人から特定の件で相談されることが多い、あるいは自分にとっては当たり前にできるのに、他の人は少し苦労しているように見えることなどは、あなたの得意なことかもしれません。例えば、特定のツールに詳しい、調べ物をするのが速い、複雑な情報を分かりやすく整理するのが得意、などは立派な強みです。
- 「好き」や「興味」から深掘りする: 仕事に関連すること、あるいは個人的に興味を持って学んでいることの中に、得意に繋がりそうなものはありませんか。好きなことは継続的に学ぶ意欲が高まりやすく、自然と知識やスキルが深まります。特にITエンジニアであれば、特定の技術スタック、開発手法、特定のドメイン知識への興味などが該当するかもしれません。
- 具体的なスキルの棚卸し: これまで習得した技術スキル(プログラミング言語、フレームワーク、ツールなど)だけでなく、コミュニケーション能力、ドキュメント作成スキル、問題解決スキル、タスク管理能力なども含めて、自分ができることをリストアップしてみましょう。
これらの問いを通して、自分が自然と力を発揮できる領域や、人よりも少しだけ詳しくなれる分野が見えてくるはずです。それが、チーム貢献に繋がるあなたの「得意」の種です。
見つけた「得意」をチーム貢献に繋げる具体的なステップ
自分の得意なことの種が見つかったら、次はそれをどのようにチーム貢献に繋げていくかを考えます。小さな一歩から始めることが大切です。
ステップ1:自分の得意をチームに共有・可視化する
あなたの得意なことを周囲に知ってもらうことから始めましょう。
- チームミーティングなどで、自分の得意な技術や関心のある分野について軽く話してみる。
- チーム内で共有されているプロフィールやスキルリストがあれば、そこに自分の得意なことを具体的に記述する。
- 作成したドキュメントやコードなどで、自分の得意な部分(例えば、分かりやすい図解、効率的なアルゴリズムなど)があれば、それを示すことで間接的に伝える。
周りがあなたの得意を知ることで、「この件ならあの人に聞いてみよう」という繋がりが生まれやすくなります。
ステップ2:チームの課題やニーズと自分の得意を紐づける
チームが現在抱えている課題や、今後必要になりそうなことに関心を向けましょう。
- チームミーティングでの議論や、チャットでのやり取りを注意深く聞く。
- プロジェクトの目標や現在の進行状況を確認する。
- チームメンバーが困っている様子はないか、日頃から周囲を観察する。
そうすることで、自分の得意なことが、チームのどのような課題解決に役立ちそうかが見えてきます。
ステップ3:小さな貢献から始める
いきなり大きな成果を出そうと気負う必要はありません。まずは小さな貢献から試してみましょう。
- チームメンバーからの簡単な質問に、自分の得意な知識を活かして分かりやすく回答する。
- 関連する技術情報や役立ちそうな記事を見つけたら、チームに共有する。
- 作成中のドキュメントやコードレビューなどで、自分の得意な観点から建設的なフィードバックを提供する。
- 少し煩雑に感じられるタスクや、誰かが後回しにしているようなタスクで、もし自分の得意が活かせそうなら、「この部分、お手伝いしましょうか」と声をかけてみる。
こうした小さな積み重ねが、チームにおけるあなたの信頼と貢献実感を高めます。
ステップ4:積極的に提案する
小さな貢献に慣れてきたら、もう少し積極的に提案を行ってみましょう。
- 会議で、自分の得意分野に関する新しいアイデアや改善策があれば発言してみる。
- 「このタスク、〇〇という方法でやると、私の得意な△△の知識が活かせて効率が上がるかもしれません」のように、自分の得意を具体的に示しながら提案する。
- チーム内で必要とされているにも関わらず手が回っていない領域で、自分の得意が活かせるなら、担当を名乗り出る。
提案は、あなたの主体性を示す強力なサインとなります。
ステップ5:継続的に学び、得意を深める
一度見つけた得意なことに満足せず、継続的に学びを深める姿勢も大切です。
- 関連技術の最新情報をキャッチアップする。
- 資格取得や外部研修への参加を検討する。
- 社内勉強会があれば積極的に参加し、可能であれば自分が知っていることを共有する(LT発表など)。
得意を深めることは、チームへの貢献の幅を広げるだけでなく、あなた自身のキャリアアップにも繋がります。
大切なのは「完璧」ではなく「関わろうとする意志」
自分の得意なことでチームに貢献しようとする際に、完璧でなければならない、特別なスキルでなければならない、と思い込む必要はありません。大切なのは、チームの役に立ちたい、より良くするために自ら関わろうとする意志です。
また、自分の得意なこととチームのニーズが常に一致するとは限りません。貢献の機会が見つからない時もあるかもしれません。その場合は、チームの状況をよく観察し、まずは指示された業務を確実に行う中で、次に繋がるヒントを探すことも重要なフォロワーシップです。
自分の得意を活かした貢献は、あくまで主体的なフォロワーシップの一つの形です。しかし、これは指示を待つだけの状態から抜け出し、自分自身の内側にある強みを活かしてチームに価値を提供できる、非常にポジティブで効果的なアプローチと言えるでしょう。
まとめ
指示待ちの状態から一歩踏み出し、主体的なフォロワーシップを発揮するために、まずはあなたの「得意なこと」に目を向けてみましょう。過去の経験、人からの評価、興味関心、そしてこれまでのスキルの中に、必ずそのヒントは隠されています。
見つけた得意なことは、チームに共有し、チームの課題やニーズと紐づけ、小さな貢献から試してみてください。そして、可能であれば積極的に提案を行い、継続的に学びを深めていくことで、あなたの得意はより強力なチーム貢献の武器となります。
自分の得意を活かすことは、単にタスクをこなす以上に、あなた自身の可能性を広げ、チームへのより深い貢献を可能にします。今日から、あなたの「これ、ちょっと得意かも」に意識を向けて、チームへの貢献機会を探してみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、主体的な働き方への大きな変化に繋がるはずです。