これならできるが見つかる。毎日の仕事で主体性を発揮するヒント
指示されたタスクをこなすことはできる。しかし、次に何をすべきか分からず手が止まってしまったり、自分から一歩踏み出すことに戸惑いを感じたりすることはないでしょうか。多くの若手ビジネスパーソンが直面する課題の一つに、「指示待ち」の状態から抜け出し、主体的にチームに貢献することへの難しさがあります。
「主体性を発揮する」と聞くと、大きなプロジェクトを動かしたり、大胆な提案をしたりといったイメージを持つかもしれません。しかし、主体性やフォロワーシップは、そうした特別な場面だけで発揮されるものではありません。むしろ、日々の小さな業務の中にこそ、主体性を育む多くの機会が潜んでいます。
この記事では、毎日の仕事の中で「これなら自分にもできるかもしれない」と思えるような、具体的な主体性発揮のヒントをご紹介します。小さな一歩を踏み出し、成功体験を積み重ねることで、自信を持って次のステップに進むきっかけを掴んでいただければ幸いです。
なぜ日々の小さなことから始めるべきなのか
主体性を発揮することに苦手意識がある場合、最初から大きな行動を起こそうとすると、失敗への恐れや何から手をつければ良いか分からないという壁にぶつかりがちです。
ここで重要なのは、成功体験を積み重ねることです。小さなことでも、自分で考えて行動し、それが何らかの良い結果につながったという経験は、大きな自信になります。この自信が、さらに大きな行動へと繋がる原動力となるのです。
日々の業務は、まさにその「小さな成功体験」を積むための絶好の機会です。特別なスキルや立場がなくても、少しの意識と工夫で、主体的な行動を取り入れることができます。
日々の「小さな主体性」具体的な実践ヒント
それでは、具体的にどのような行動から始めてみることができるでしょうか。ここでは、日常的な業務シーンを例に、実践しやすいヒントをいくつかご紹介します。
ヒント1:タスク完了後の「次の一手」を考えてみる
指示されたタスクが完了したとき、次に何をすべきか指示を待つ前に、少し立ち止まって考えてみましょう。
- このタスクは、何のために行われたのか?その目的は達成できたか?
- このタスクの成果は、誰か(チームメンバー、他部署、顧客など)に影響するか?その人たちはこの成果を知っている必要があるか?どのように伝えれば最もスムーズか?
- このタスクで得られた情報や気づきで、他に何かできることはないか?(例えば、同じようなタスクで役立つ情報をまとめておく、非効率だった点を改善できないか検討する、など)
すぐに適切な「次の一手」が見つからなくても構いません。この「考える」というプロセス自体が、主体性を養う第一歩です。考えた結果を、上司や先輩への報告に「+α」として添えてみるのも良いでしょう。「〇〇のタスクが完了しました。△△という点も関連しそうだと考えたのですが、いかがでしょうか?」のように伝えることで、業務への深い理解と主体的な姿勢を示すことができます。
ヒント2:会議や情報共有の場で「小さな貢献」を意識する
会議中、積極的に発言するのはハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、会議への貢献は発言だけではありません。
- 話されている内容で不明な点や疑問があれば、議事の進行を妨げない範囲で質問する。(「〇〇の部分について、△△と理解したのですが合っていますでしょうか?」など)あなたの疑問は、他の人も抱えているかもしれません。
- 会議中に決定された事項や共有された情報について、自分ならどう解釈し、自分のタスクにどう活かせるかをその場で考える。
- 会議で出た重要なポイントや決定事項を、後で振り返れるようにメモすることを心がける。可能であれば、簡単なサマリーをチーム内で共有することを提案してみる。
情報共有の場でも同様です。一方的に情報を受け取るだけでなく、「この情報は誰かの役に立ちそうか?」「自分から何か補足できることはないか?」といった視点を持つことで、小さな主体性を発揮できます。
ヒント3:日々の業務で「小さな改善点」に気づく練習をする
日々の業務の中には、無意識のうちに行っている非効率な手順や、「こうなったらもっと良いのに」と感じる小さな点があるはずです。
- 「なぜ、こうするのだろう?」 と、普段当然だと思っている手順の理由を考えてみる。
- 自分が使っているツールや資料で、少しでも使いにくい点はないか注意してみる。
- 自分のタスクが、チーム全体の流れの中でどのような位置づけにあるかを意識し、前後の工程との連携で改善できる点はないか考えてみる。
こうした小さな気づきをメモしておき、機会があれば「△△の作業について、もしかしたら〇〇のようにすると少し効率が上がるかもしれないと感じたのですが、いかがでしょうか?」のように、提案として伝えてみましょう。大きな改善でなくとも、業務をより良くしようという意識は、主体性の表れとして評価されるものです。
ヒント4:情報収集の範囲を少しだけ広げてみる
指示された業務に必要な情報を収集することは基本ですが、そこから一歩進んで、関連する情報にも目を向けてみましょう。
- 担当しているシステムや機能について、ユーザーはどのように使っているのか、どのような点で困っているのかを少し調べてみる。
- 自分が関わっている技術やツールに関する最新のニュースや動向をチェックしてみる。
- チームメンバーがどのような業務をしているか、少し話を聞いてみる。
こうした行動は、すぐに直接的な成果につながらないかもしれませんが、業務への理解を深め、将来的にチームへ貢献できる可能性を広げます。得られた情報を、チーム内のチャットで気軽に共有するだけでも、小さな主体的な行動となります。
小さな主体性を継続するための考え方
こうした「小さな主体性」を継続するためには、以下の点を意識すると良いでしょう。
- 完璧を目指さないこと: 最初から全てを完璧にこなす必要はありません。まずは「今日は一つだけ、指示+αの行動をしてみよう」といった小さな目標から始めるのが効果的です。
- 「誰かのためになるか?」を考える: 自分の行動が、チームメンバーや会社にどう貢献できるかという視点を持つと、モチベーションを保ちやすくなります。
- できたことを意識する: 自分で考えて行動できたこと、それが小さな成功に繋がったことを、意識して振り返り、自分自身を肯定することが大切です。
- フィードバックを恐れない: 自分で考えた行動が常に正解とは限りません。もし意図した結果にならなかったとしても、それは貴重な学びです。フィードバックをもらうことを恐れず、次に活かしましょう。
まとめ:今日からできる小さな一歩を踏み出そう
指示待ちの状態から抜け出し、主体的なフォロワーシップを発揮することは、キャリアを築いていく上で非常に重要なスキルです。そして、それは特別なことではなく、日々の小さな業務の積み重ねから育まれるものです。
今回ご紹介したヒントは、どれも今日からすぐに試せるような、ハードルの低いものを選んでいます。タスク完了後の次の一手を考えてみる、会議で小さな質問をしてみる、日々の業務の小さな改善点に目を向けてみる、情報収集の範囲を少し広げてみる。
これらの小さな一歩が、やがて大きな変化へと繋がります。自分にも「できること」は必ずあります。まずは、日々の業務の中で、あなたにとって最も取り組みやすそうな「小さな主体性」を一つ見つけ、今日から実践してみてください。その小さな成功体験が、きっと次の行動への自信となるはずです。