目標設定・計画策定に主体的に関わる。チーム貢献への第一歩
若手ビジネスパーソンとして日々の業務に真摯に取り組む中で、「言われたことはできるけれど、次に何をすれば良いか分からない」「もっとチームに貢献したいけれど、どうすれば良いか見当がつかない」と感じることはないでしょうか。特にチームやプロジェクトの目標が設定された後、あるいは計画が共有された後で、自分のタスクをこなすことに集中し、「指示待ち」の状態になってしまうことは、主体的なフォロワーシップを発揮する上で一つの壁となり得ます。
しかし、チームへの貢献は、与えられたタスクを正確にこなすことだけではありません。チームの目標が設定され、その達成に向けた計画が立てられる段階から、主体的に関わることで、あなたの貢献度は大きく高まります。この記事では、目標設定や計画策定の初期段階から主体的に関わることの重要性と、明日から実践できる具体的なステップについて解説します。
なぜ目標設定・計画策定に主体的に関わるべきなのか
チームの目標や計画に対して主体的に関わることは、いくつかの重要なメリットをもたらします。
第一に、目標や計画の「意図」や「背景」を深く理解できるという点です。指示を受けてタスクを実行するだけでは、そのタスクがチーム全体のどの部分に繋がり、どのような目的のために行われるのかが見えにくい場合があります。しかし、目標設定や計画策定の議論に参加したり、関連情報を主体的に収集したりすることで、大きな絵を理解しやすくなります。これにより、自分のタスクの重要性を認識し、より質の高い成果を目指すモチベーションにも繋がります。
第二に、当事者意識が高まることです。目標や計画の決定プロセスに少しでも関わることで、「やらされ感」ではなく「自分たちで決めた」という感覚が生まれやすくなります。これは、目標達成に向けた困難に直面した際にも、粘り強く取り組む力になります。
第三に、貢献機会を早期に見つけられる点です。計画段階で潜在的な課題やリスクに気づいたり、自分の持つスキルや知識がどのように役立つかを考えたりすることで、計画の精度向上や、後の工程での手戻りを防ぐための提案を行うことができます。これは、単にタスクをこなす以上の、より価値の高い貢献となります。
目標設定・計画策定段階で主体的に関わる具体的なステップ
では、具体的にどのように目標設定や計画策定の段階で主体性を発揮すれば良いのでしょうか。初心者でも取り組みやすいステップをいくつかご紹介します。
1. チーム目標の背景・意図を理解しようとする
設定されたチーム目標やプロジェクトの目的について、不明な点があれば積極的に確認しましょう。「なぜこの目標が設定されたのか」「どのような背景があるのか」「達成することで何を目指すのか」といった点を、リーダーや先輩に質問したり、関連ドキュメントを読んだりして理解を深めます。質問する際は、「〇〇という理解で合っていますでしょうか。その背景には△△のような状況があるのでしょうか」のように、自分の考えや前提を含めて問いかけると、対話が深まりやすくなります。
2. 自分の役割やタスクが目標にどう繋がるか考える
チーム目標を理解したら、次に自分の現在の役割や将来的に担うであろうタスクが、その目標達成にどう貢献するのかを具体的に考えます。「このタスクが完了すれば、計画のこの部分が進み、最終的に目標の〇〇に繋がる」といった繋がりを意識することで、日々の業務に対する目的意識が明確になります。もし繋がりが不明瞭な場合は、遠慮なくチームメンバーに確認しましょう。
3. 計画共有や意見交換の場に積極的に参加する
目標達成のための具体的な計画が立てられる会議や情報共有の場には、可能な限り参加しましょう。会議で発言することに抵抗がある場合でも、まずは聞く姿勢を大切にしますが、不明点があれば「恐れ入ります、この点についてもう少し詳しくご説明いただけますでしょうか」のように質問してみましょう。また、事前に共有された計画案について、疑問点や懸念点(例:自分の担当パートの前提条件など)を整理しておき、発言の機会を伺うことも有効です。
4. 自分の担当パートについて実現可能性や改善案を提案する
計画案が示されたら、自分の担当する可能性のある部分について、実現可能性やより効率的な進め方、潜在的なリスクなどを検討します。例えば、「このタスクの完了には、〇〇の情報が必要になりそうですが、現在の状況では△△という課題があるかもしれません」「この部分の進め方として、別の方法(具体的な代替案)も考えられますが、いかがでしょうか」のように、具体的な視点から建設的な意見を提案します。これは、計画の精度を高める上で非常に価値のある貢献となります。
5. 目標達成に向けたリスクや課題を早期に察知し、共有する
計画段階で、目標達成を阻害する可能性のあるリスクや課題に気づいたら、それが些細なことに思えても、速やかにチームに共有します。「現時点での懸念として、〇〇という点があります。計画を進める上で注意が必要かもしれません」のように、具体的な状況を伝えます。早期の情報共有は、チームが迅速に対応策を検討し、手戻りや大きな問題への発展を防ぐことに繋がります。これは、主体的なフォロワーシップの重要な側面です。
小さな一歩から始める
これらのステップは、一見難しそうに感じるかもしれませんが、すべてを一度に行う必要はありません。まずは「チーム目標について一つ質問してみる」「計画共有の会議で、自分の担当に関わる部分の不明点を明確にする」といった小さな一歩から始めてみましょう。
重要なのは、指示を待つだけでなく、「この目標は何だろう」「この計画はどうなっているんだろう」「自分に何かできることはないだろうか」と、主体的に関心を持つ姿勢を持つことです。目標設定・計画策定段階でのあなたの主体的な関わりは、チーム全体の推進力となり、結果としてあなたの成長とチームへの貢献に繋がります。
まとめ
チームの目標設定や計画策定の段階から主体的に関わることは、自身の業務理解を深め、当事者意識を高め、新たな貢献機会を見つけるための有効な方法です。目標の背景・意図の理解、自分の役割と目標の関連付け、会議等での積極的な参加、担当パートに関する提案、リスク・課題の早期共有といった具体的な行動は、指示待ちから卒業し、主体的なフォロワーシップを実践するための重要なステップとなります。
これらの取り組みは、すぐに大きな変化をもたらすものではないかもしれません。しかし、日々の小さな積み重ねが、あなたの働きがいを高め、チームにとって不可欠な存在となるための土台を築きます。今日から、チームの目標や計画に少しだけ「自分事」として向き合ってみてはいかがでしょうか。その一歩が、あなたのキャリアにおける大きな前進となるはずです。