朝の準備から終業まで。日々の習慣に「主体性」を組み込むフォロワーシップ
日々の業務で、「指示がないと次に何をすれば良いか分からない」「毎日同じことの繰り返しで、どうすればチームに貢献できるのか見えづらい」と感じることはないでしょうか。特に社会人経験が浅い時期は、与えられたタスクを正確にこなすことに意識が向きがちで、自ら考えて行動する主体性や、チームを支えるフォロワーシップをどう発揮すれば良いか、戸惑うこともあるかもしれません。
主体的なフォロワーシップは、特別な場面で突然発揮されるものではありません。実は、毎日の小さな習慣の中に主体性を少しずつ組み込んでいくことで、自然と身についていくものです。
この記事では、日々の習慣に「主体性」の視点を加えることで、指示待ちから卒業し、主体的なフォロワーシップを育むための具体的なステップをご紹介します。
なぜ日々の習慣が主体性につながるのか
大きな変化を一度に起こそうとすると、多くのエネルギーが必要となり、挫折しやすくなります。一方で、日々の小さな習慣に少しの変化を加えることは、比較的容易に始められ、継続しやすいという特徴があります。
この「小さな習慣」の積み重ねが、主体性を発揮するための土台となります。なぜなら、主体性とは、「自ら考え、判断し、行動する」ことの繰り返しによって強化される能力だからです。
毎日のルーティンの中に、意識的に「自ら考える時間」や「小さな判断・行動」を組み込むことで、「指示されるから動く」という受け身のサイクルから、「自ら問いを立て、考えて動く」という能動的なサイクルへと、少しずつ移行することができるのです。
日々の習慣に主体性を組み込む具体的なステップ
ここでは、ビジネスパーソンの一般的な一日を例に、それぞれの習慣に主体性を加えるステップをご紹介します。
ステップ1:自分の「日々の習慣」をリストアップする
まずは、自分が毎日、あるいは定期的に行っている業務に関する習慣を書き出してみましょう。 例:
- 始業時のメールチェック
- タスクリストの確認
- 定例会議への参加
- 日中の作業(コーディング、資料作成など)
- 報告書の作成
- 休憩
- 終業前の準備
これらの習慣は、指示されるまでもなく、自然と行っていることかもしれません。
ステップ2:各習慣に「主体的な問いかけ」を加える
次に、リストアップしたそれぞれの習慣に対して、「主体的な問いかけ」を一つ加えてみます。指示を待つのではなく、自分自身に問いかけるイメージです。 例:
- 始業時のメールチェック: 「今日の最重要タスクは何だろうか?」「このメールの返信で、何か他に確認すべきことはないか?」
- タスクリストの確認: 「このタスクの優先順位は本当にこれで合っているか?」「このタスクの完了がチーム全体のどの部分に影響するか?」
- 定例会議への参加: 「この会議の目的は何だったか?」「自分から何か共有できる情報はないか?」「会議で確認しておきたい点は?」
- 日中の作業: 「この作業は、最終的な目標に対してどのくらい貢献するだろうか?」「より効率的に進める方法はないか?」
- 報告書の作成: 「この報告書で、受け取る側が知りたい情報は何か?」「次のアクションにつながるような示唆を加えられないか?」
- 休憩: 「休憩後、すぐに作業に集中するために、何か準備しておくことはないか?」
- 終業前の準備: 「今日の成果は何だったか?」「明日の朝、スムーズに業務を開始するために、今日のうちに何をしておくべきか?」
これらの問いかけは、指示を待つ前に、自分で状況を把握し、次に取るべき行動を考えるきっかけとなります。
ステップ3:小さな「自律的な行動」を追加する
ステップ2の問いかけで見えてきたことに対して、日常の中でできる「小さな自律的な行動」を一つ加えてみましょう。 例:
- 始業時: メールチェック後、今日のタスクの中から「これは必ず終わらせる」というものを自分で一つ決め、タスクリストの最上位に移動する。
- タスク確認: タスクの完了イメージが曖昧なものがあれば、すぐに担当者や先輩に「〇〇について確認させてください」とメッセージを送る準備をする。
- 定例会議: 会議資料を事前に読み込み、簡単な質問を一つ考えてメモしておく。
- 日中の作業: 作業中に疑問に思ったことを、すぐに検索するか、後でまとめて質問できるようにメモしておく。
- 報告書作成: 報告書を提出する際、「ご不明点があればいつでもお声がけください。特に〇〇の点はまだ検討中です」といった一文を添える。
- 休憩: 休憩が終わる時間に合わせて、次のタスクに必要なファイルを開いておく。
- 終業前: 明日の最初のタスクで使う資料をデスクトップに整理しておく。
これらの行動は、どれもほんの小さな一歩です。しかし、「指示されたから動く」のではなく、「自分で考えて」加えた行動である点が重要です。
小さな習慣の変化がもたらす効果
日々の習慣にこれらの小さな主体性を組み込んでいくと、次のような効果を実感できるでしょう。
- タスクへの能動的な取り組み: 「何をすれば良いか分からない」という時間が減り、自分からタスクを見つけたり、タスクの質を高めたりする意識が芽生えます。
- 周囲への意識向上: 自分への問いかけや小さな行動を通して、自分のタスクがチームの中でどのように位置づけられているか、チームの他のメンバーは何をしているか、といった周囲への関心が高まります。これが、チームを支えるフォロワーシップの発揮につながります。
- 自己効力感の向上: 自分で考えて行動し、小さな成功体験を積み重ねることで、「自分にもできる」という自信がつきます。
- 成長の促進: 日々の業務から学びを見つけ出す機会が増え、着実に成長している実感を得られます。
まとめ
指示待ちから卒業し、主体的なフォロワーシップを発揮することは、決して難しいことではありません。特別なスキルや大胆な行動が必要なわけではなく、日々の小さな習慣の中に意識的に「主体性」を組み込んでいくことから始めることができます。
まずは、あなたが毎日行っている一つの習慣を選んでみてください。そして、その習慣に対して「自分にできる小さな問いかけ」を加えてみましょう。さらに、「その問いかけに基づいてできる小さな自律的な行動」を一つ試してみてください。
この小さな一歩が、あなたの業務への取り組み方、チームへの貢献の仕方、そして自身の成長に確かな変化をもたらすはずです。日々の習慣を、主体性を育むための大切な機会として捉えてみてはいかがでしょうか。