主体性はじめの一歩

「意見が違うな」と思った時に。主体的に歩み寄るフォロワーシップ実践法

Tags: フォロワーシップ, 主体性, コミュニケーション, チームワーク, 対人関係

チームでの仕事において、メンバー間で意見が異なる場面に遭遇することは少なくありません。特に社会人経験が浅い時期には、どのように対応すれば良いか戸惑うこともあるかもしれません。指示されたタスクを正確にこなすことは得意でも、多様な意見が飛び交う中で主体的に関わることには難しさを感じる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、異なる意見への主体的な関わりは、単に自分の意見を通すことではなく、チーム全体の成果を最大化するために非常に重要なフォロワーシップの実践です。これは、指示を待つだけではない、一歩進んだ貢献の形と言えます。この記事では、「意見が違うな」と感じた時に、あなたがどのように主体的に関わり、チームに貢献できるのか、具体的なステップと心構えをご紹介します。

なぜ異なる意見への主体的な関わりがチーム貢献に繋がるのか

チームには様々な経験や専門性を持つメンバーがいます。そのため、一つの課題に対して多様な視点やアイデアが生まれるのは自然なことです。異なる意見が出た時に、それを無視したり避けたりするのではなく、主体的に向き合うことには以下のようなメリットがあります。

指示された業務を正確にこなすだけでなく、このようにチーム内のコミュニケーションに主体的に関わることも、重要なフォロワーシップの実践なのです。

「意見が違うな」と感じた時の主体的なステップ

では、実際にチームメンバーと意見が異なった時に、どのように主体的に関われば良いのでしょうか。具体的なステップを見ていきましょう。

ステップ1:感情的にならず、一旦相手の意見を受け止める

「自分の考えと違う」「それはおかしい」と感じたとしても、まずは感情的にならずに相手の意見を最後まで聞きましょう。すぐに反論するのではなく、「この人はなぜそう考えるのだろう?」と、その意見の背景にある考えや意図を理解しようとする姿勢が重要です。これは傾聴と呼ばれるスキルであり、主体的なコミュニケーションの第一歩です。

ステップ2:相手の意見の「背景」や「意図」を質問する

相手の意見を頭ごなしに否定するのではなく、理解を深めるための質問をしてみましょう。

例えば、 * 「〇〇さんのアイデア、興味深いです。そう考えられた背景や、特に重視されている点があれば教えていただけますか?」 * 「その方法は、具体的にどのようなメリットがあるとお考えですか?」 * 「もしよろしければ、その結論に至った経緯をもう少し詳しくお伺いしても良いでしょうか?」

このように、相手の意見の根拠や目的を尋ねることで、単なる表面的な意見の対立ではなく、より深い部分での議論が可能になります。これは、指示されたタスクの「なぜやるのか」を理解しようとする姿勢と同様に、主体性の表れです。

ステップ3:共通点や落としどころを探す

全く異なる意見に見えても、実は目指しているゴールは同じだったり、部分的に共通する認識があったりすることはよくあります。「相手の意見のこの部分は自分も同意できる」「お互いの意見の良いところを組み合わせられないか」という視点で、共通点や歩み寄れる点を探してみましょう。

例えば、 * 「〇〇さんがおっしゃる△△の点は、私も重要だと感じています。その上で、私の考えと組み合わせると、□□のようになるかもしれません。」 * 「完全に一致するわけではないですが、お互いの意見には◎◎という共通点がありそうですね。そこを起点に、別の方法を一緒に考えてみませんか?」

このように、対立するのではなく、共に解決策を見つけようとする姿勢は、チームワークを高める上で非常に効果的です。

ステップ4:自分の意見とその根拠を分かりやすく伝える

相手の意見を十分に理解しようと努めた上で、自分の意見を伝える番です。この際も、「なんとなくそう思う」ではなく、「なぜそう考えるのか」という根拠や理由を明確に伝えることが重要です。具体的なデータや過去の経験、論理的な思考プロセスを示すことで、あなたの意見に説得力が増し、チームメンバーも理解しやすくなります。

また、「あなたの意見は間違っている」という否定的な言い方ではなく、「私はこのように考えているのですが、いかがでしょうか?」といった、相手の意見を尊重しつつ自分の考えを提案する形をとることが大切です。

ステップ5:「より良い結論」を一緒に目指す姿勢を示す

異なる意見への主体的な関わりは、どちらが正しいかを決める「勝ち負け」ではありません。目指すのは、チーム全体にとって最善の結論です。そのため、議論の過程では「あなたの意見も私の意見も、どちらが良いかを決めるのではなく、チームとして最も効果的な方法を一緒に見つけたいと考えています」といった、協力的な姿勢を常に示すことが重要です。

お互いの意見を尊重し、建設的に対話することで、どちらの意見とも異なる「第三の案」が生まれることもあります。これこそが、多様な意見を受け止め、主体的に関わることで生まれる価値創造です。

日常から意識したいこと

異なる意見への主体的な関わりは、特別な場面だけで発揮されるものではありません。日頃からの意識が重要です。

まとめ

指示されたタスクをこなすだけでなく、チーム内で意見が異なった際に主体的に関わることは、若手ビジネスパーソンにとって大きな成長機会であり、強力なフォロワーシップの実践となります。

「意見が違うな」と感じたら、すぐに反論するのではなく、まずは相手の意見を注意深く聞き、その背景や意図を理解しようと質問することから始めてみてください。そして、自分の意見を伝える際は、根拠と共に建設的に提案しましょう。大切なのは、お互いの意見を尊重し、「チームにとってより良い結論を一緒に見つけたい」という協力的な姿勢を持つことです。

異なる意見への主体的な関わりを通じて、あなたはチームの議論を深め、より良い意思決定に貢献し、チームワークを高めることができるでしょう。今日から、チームメンバーとの対話の中で「聞くこと」「質問すること」「共通点を探すこと」を少しずつ意識してみてください。あなたの主体的な一歩が、チーム全体の成長に繋がっていきます。