主体性はじめの一歩

指示を待たずにタスクを整理!優先順位を判断するフォロワーシップ

Tags: フォロワーシップ, 主体性, タスク管理, 優先順位, 若手ビジネスパーソン

社会人経験が浅い頃は、任されたタスクを指示された通りにこなすことに集中しがちです。しかし、複数のタスクを同時に抱えるようになると、「次に何をすればいいのか」「どのタスクから手を付けるべきか」と迷うことがあるかもしれません。特に指示が不明確だったり、急な割り込みタスクが発生したりすると、混乱してしまい、結果として納期に間に合わなかったり、チームに迷惑をかけてしまったりするのではないかと不安を感じることもあるでしょう。

このような状況で、指示を待つだけでなく、自分で状況を判断してタスクの優先順位をつけ、主体的に行動できると、仕事は格段に進めやすくなります。これは、指示されたことをこなすだけでなく、チーム全体の成果を意識して行動する「フォロワーシップ」の実践の一つです。自分で優先順位を判断できるようになると、個人の生産性が向上するだけでなく、チーム全体の連携もスムーズになり、貢献度が大きく高まります。

この記事では、あなたが指示待ちから一歩踏み出し、複数のタスクを前にしても自分で優先順位を判断し、主体的に業務を進めるための具体的な考え方とステップをご紹介します。

なぜ自分で優先順位を判断することが大切なのでしょうか?

自分でタスクの優先順位を判断できるようになることは、主に以下の理由から非常に重要です。

特にITエンジニアの場合、複数の開発タスク、調査、問い合わせ対応、打ち合わせ準備などが同時並行で発生することがよくあります。どれを優先するかを自分で判断するスキルは、日々の業務をスムーズに進める上で欠かせません。

優先順位を判断するための基本的な考え方

タスクの優先順位を判断する際に役立つ基本的な考え方を見ていきましょう。

  1. 重要度: そのタスクがどれだけチームやプロジェクトの目標達成に貢献するか、あるいは完了しない場合にどれだけ大きな問題が発生するか、という観点です。例えば、お客様の要望に直接関わる機能開発や、システム全体に影響する不具合の修正などは重要度が高いと言えます。
  2. 緊急度: そのタスクにどれだけ差し迫った締め切りがあるか、あるいはどれだけ迅速な対応が求められるか、という観点です。例えば、今日中に対応しないとシステムが停止してしまうようなトラブル対応は緊急度が非常に高いと言えます。
  3. 影響範囲: そのタスクの完了・未完了が、自分以外の誰に、あるいはどの範囲に影響を及ぼすか、という観点です。多くの人が待っている情報提供や、他の人の作業の前提となるタスクは影響範囲が大きいと言えます。
  4. 所要時間: そのタスクを完了するのにどれくらいの時間が見込まれるか、という観点です。短い時間で完了できるタスクを先に片付けることで、全体のタスク量を減らし、心理的な負担を軽減できる場合もあります。
  5. 依存関係: そのタスクに着手するために、他の誰かや他のタスクの完了を待つ必要があるか、あるいはそのタスクを完了させないと他の人が次のステップに進めないか、という観点です。依存関係があるタスクは、その前後関係を考慮して優先順位を決める必要があります。

これらの要素を総合的に考慮して、どのタスクから取り組むかを判断します。

指示を待たずに優先順位を判断し、主体的に行動するためのステップ

ここでは、具体的な行動に移すためのステップをご紹介します。

ステップ1:抱えているタスクを全て「見える化」する

まずは、現在自分が抱えているタスクを全てリストアップしましょう。大小に関わらず、依頼されていること、自分がやるべきだと思っていることを書き出します。プロジェクト管理ツール、タスク管理アプリ、あるいはシンプルにノートやメモ帳でも構いません。タスクの名称だけでなく、依頼内容や完了した状態がどのようなものか(完了の定義)も簡単に書き添えると良いでしょう。

ステップ2:各タスクの目的と情報を確認する

リストアップした各タスクについて、なぜそのタスクが必要なのか(目的)を改めて確認します。不明な点があれば、依頼者や関係者に質問して明確にしましょう。また、そのタスクに関連する情報(期日、関連資料、担当者、期待される成果物など)を集めます。この際、「このタスクが完了すると誰が喜ぶだろう?」「何に役立つだろう?」といった視点を持つと、タスクの重要度を理解しやすくなります。

ステップ3:優先順位の要素を「推測」または「確認」する

ステップ2で集めた情報をもとに、先述の「重要度」「緊急度」「影響範囲」「所要時間」「依存関係」といった要素を、それぞれのタスクについて評価します。

ステップ4:要素に基づいて優先順位を「暫定的に決定」する

集めた情報と評価した要素に基づいて、タスクに取り組む順番を暫定的に決定します。

これらの原則に基づき、自分なりの「今日のタスク順番」や「今週のタスク計画」を立ててみます。

ステップ5:決定した優先順位を「共有・確認」する

特に経験が浅いうちは、自分で決定した優先順位が適切かどうか不安になることもあるでしょう。そのような場合は、一方的に作業を進めるのではなく、決定した優先順位を上司やチームメンバーに共有し、確認を求めることが非常に有効です。

「現在、A、B、Cというタスクを抱えており、それぞれの状況はこう考えています。つきましては、重要度と期日を考慮し、A→C→Bの順番で進めたいと考えておりますが、この優先順位で問題ないでしょうか?」のように具体的に伝えることで、単なる質問ではなく、自分で考えて提案する主体的な姿勢を示すことができます。これにより、もし判断が誤っていた場合でも早期に修正でき、適切な優先順位のつけ方について学ぶ機会にもなります。

ステップ6:進捗を管理し、必要に応じて「調整」する

優先順位に従ってタスクを進めている途中でも、状況は変化します。急な依頼が入ったり、想定外の課題が発生したりすることもあるでしょう。そのような場合は、立ち止まってタスクリストと優先順位を見直し、必要であれば再調整を行います。新しいタスクがどれだけ重要か、既存のタスクにどれだけ影響するかを判断し、優先順位を変更したり、上司に相談したりといった対応を主体的に行います。

また、タスクの進捗状況は定期的に共有することも重要です。特に遅延しそうなタスクについては、早期に報告し、必要なサポートを求めることで、チームへの影響を最小限に抑えることができます。

まとめ

指示を待たずに自分でタスクの優先順位を判断し、主体的に行動することは、指示待ちから卒業し、チームに貢献するフォロワーシップを実践する上で非常に重要なスキルです。

まずは、自分が抱えているタスクを全て「見える化」することから始めてみましょう。そして、それぞれのタスクの目的や関連情報を集め、重要度や緊急度といった要素を自分なりに評価してみます。判断に迷う場合は、一人で抱え込まず、勇気を出して上司やチームメンバーに確認や相談をしてみてください。自分で考えた優先順位を「提案」として共有することも、主体性を示す素晴らしい一歩です。

最初から完璧な優先順位をつけることは難しくても、これらのステップを意識して実践を重ねることで、少しずつ的確な判断ができるようになっていきます。主体的なタスク管理は、あなたの仕事の質を高め、チームからの信頼を築き、より充実した働き方に繋がるはずです。今日から、目の前のタスクについて「どれから取り組むべきか?」と、一歩踏み出して考えてみませんか。