指示に迷わない!複数のタスクを主体的に管理し、優先順位を見極める方法
複数の業務を同時に任されたとき、あるいは新しいタスクが次々と追加される中で、「次に何をすれば良いのだろう」「どれから手を付ければ良いか分からない」と迷ってしまうことはないでしょうか。特に社会人経験が浅い時期は、指示された一つ一つのタスクをこなすことに精一杯になり、全体像が見えづらくなることがあります。
指示を待つことは決して悪いことではありませんが、複数のタスクが絡み合う状況で常に指示を待っていると、業務が滞ったり、チーム全体の進捗に影響が出たりする可能性も考えられます。このような状況でこそ、主体的に考え、行動することが求められます。
本記事では、複数のタスクに直面した際に、どのように主体的に状況を整理し、優先順位を見極め、効率的に業務を進めていくかについて、具体的なステップと実践のヒントをご紹介します。これは、指示待ちから卒業し、チームに貢献できる主体的なフォロワーシップを発揮するための一歩となるでしょう。
なぜ複数タスクの主体的な管理が重要なのか
複数のタスクを主体的に管理し、優先順位を見極める能力は、若手ビジネスパーソンにとって非常に価値の高いスキルです。その理由として、主に以下の点が挙げられます。
- 業務の停滞を防ぎ、効率を高める: 指示を待たずに自分で優先順位を判断し動くことで、手待ち時間を減らし、全体の作業効率を高めることができます。
- チームへの貢献度を高める: 自分のタスクを効率的に進めることはもちろん、優先順位を考える際にチーム全体の状況や他のメンバーへの影響を考慮できるようになることで、間接的にチーム全体の成果に貢献できます。
- 自己成長に繋がる: 自分で考え、判断し、実行するプロセスを繰り返すことで、問題解決能力や判断力、計画力が養われます。これは、将来的にさらに重要な役割を担う上での基礎となります。
- 信頼を得る: 主体的に複数の業務を管理し、期日内に成果を出すことは、周囲からの信頼獲得に繋がります。
単に「言われたことをやる」から一歩進んで、「全体を見て、自分で考えて動く」姿勢は、まさに主体的なフォロワーシップの実践に他なりません。
複数のタスクが見えたらまずやること:見える化と情報収集
複数のタスクに直面したら、まずは状況を「見える化」し、必要な情報を集めることから始めましょう。頭の中だけで整理しようとすると、抜け漏れが発生したり、混乱したりしやすくなります。
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全てのタスクを書き出す:
- 大小に関わらず、現在抱えている、または今後着手する必要のあるタスクを全てリストアップします。手書きのメモ、タスク管理ツール、スプレッドシートなど、自分が使いやすい方法で構いません。
- ポイントは「全て」を書き出すことです。「これは大したことないからいいか」と思わずに、小さなタスクも含めて全て記録します。
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各タスクの基本情報を整理する:
- 書き出したタスク一つ一つに対し、以下の情報を整理します。
- タスクの内容: 具体的に何を行うのか。
- 目的: そのタスクは何のために必要なのか、完了することで何が達成されるのか。(なぜそのタスクが必要なのかを理解することは、後述する優先順位判断や主体的な行動に不可欠です。「指示されたタスクの目的を理解し、主体的なフォロワーシップを発揮する方法」でも触れられています。)
- 納期/期日: いつまでに完了させる必要があるか。明確な期日がない場合は、いつ頃までに終えるのが理想か、またはいつまでに終えるよう期待されているかを上司や関係者に確認します。
- 担当者/依頼者: 誰から依頼されたか、誰が担当者か。
- 関連情報/資料: タスク遂行に必要な情報や参照すべき資料があるか。
- 制約条件: 利用できるリソース(時間、人員、予算など)に制約があるか。
- 成果物の定義: どのような状態になればタスク完了と言えるのか。
- 書き出したタスク一つ一つに対し、以下の情報を整理します。
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不明点は積極的に確認する:
- 上記の情報整理の過程で不明な点があれば、必ず依頼者や関係者に確認します。納期が曖昧、目的が分からない、必要な情報が見つからないといった状態で作業を進めると、後から手戻りが発生したり、全く見当違いの方向に進んでしまったりするリスクがあります。
- ただし、闇雲に質問するのではなく、自分なりに調べたり考えたりした上で、「○○と理解しましたが、合っていますでしょうか?」「△△について調べてみましたが、××の情報が見つかりません。どこか参照すべき資料はありますでしょうか?」のように、自身の努力と具体的な疑問点を添えて質問することで、主体性を示すことができます。
この「見える化」と「情報収集」のステップを踏むことで、自分が抱えているタスク全体とその状況を客観的に把握でき、次のステップである優先順位判断に進む準備が整います。
主体的な優先順位の見極め方
情報収集ができたら、次はどのタスクから取り組むべきか、優先順位を見極めるステップです。ここが、単に「指示された順にやる」のではなく、主体性を発揮する重要なポイントとなります。
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基本の考え方:重要度と緊急度で整理する
- 多くのタスク管理手法で基本となるのが、「重要度」と「緊急度」を軸にした考え方です。
- 重要度: そのタスクが、チームや自身の目標達成、または事業全体にどれだけ大きな影響を与えるか。
- 緊急度: そのタスクの納期がどれだけ迫っているか、またはすぐに着手する必要があるか。
- これらの軸を使ってタスクを分類します。例えば、以下の4つの象限で考える方法(フランクリン・コヴィー氏のタイム・マトリクスが有名です)があります。
- 重要度 高 & 緊急度 高: 最優先で取り組むべきタスク(例:差し迫ったトラブル対応、期日が明日の重要資料作成)
- 重要度 高 & 緊急度 低: 緊急ではないが重要なタスク。計画的に取り組むべき(例:スキルの習得、将来のための準備、関係構築)
- 重要度 低 & 緊急度 高: 緊急だが重要でないタスク。可能な限り効率化したり、他の人に任せたりできないか検討(例:突発的な依頼で、自分以外でも対応可能なもの)
- 重要度 低 & 緊急度 低: 重要でも緊急でもないタスク。後回しにするか、不要ならやらない判断も(例:特に目的のない情報収集、いますぐでなくても良い資料整理)
- 多くのタスク管理手法で基本となるのが、「重要度」と「緊急度」を軸にした考え方です。
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チーム全体の目標や他のメンバーへの影響を考慮する
- 自分のタスク単体だけでなく、そのタスクがチーム全体の目標達成にどう繋がるか、他のメンバーの作業にどのような影響を与えるか(例:自分が完了しないと次に進めない人がいるか)といった視点を持つことが、フォロワーシップにおける重要なポイントです。
- 他のメンバーのタスク状況や困りごとを把握することで、自分のタスクの優先順位が変動することもあります。例えば、自分のタスクの重要度が「中」であっても、そのタスクの完了が他のメンバーの「高」優先度タスクのボトルネックになっている場合、自分のタスクの優先度を上げるべきと判断できるかもしれません。
- 「周りを見る」こと、「自分のタスク」だけでなく「チーム全体の目標」を見ることは、主体的なフォロワーシップの実践そのものです。(「「自分のタスク」だけ見ている?チーム全体の目標達成に繋がる主体的な行動」「「周りを見る」ことから始める!チームを支える主体的なフォロワーシップ」も参考にしてください。)
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判断に迷ったら相談する
- 自分で優先順位を判断することが基本ですが、どうしても判断に迷う場合や、自分の判断に自信が持てない場合は、躊躇せず上司や経験のある先輩に相談しましょう。
- 相談する際も、「どれからやればいいですか?」と丸投げするのではなく、「タスクAとタスクBがあり、それぞれ納期が○○と△△です。重要度・緊急度を考慮するとタスクAを先に進めるのが良いかと考えましたが、チーム全体の状況を踏まえて他に優先すべきタスクがあれば教えていただけますでしょうか?」のように、自分なりに考えた内容と、判断に迷っているポイントを具体的に伝えることで、より建設的なアドバイスが得られます。これは、単なる指示待ちではなく、主体的に状況を改善しようとする姿勢を示すことになります。
このステップを通じて、自分の中でタスクに対する明確な優先順位を確立することができます。
判断した優先順位で主体的にタスクを進める
優先順位が決まったら、その判断に基づいて主体的にタスクを進めていきます。計画通りに進めるための工夫や、状況の変化に柔軟に対応することも重要です。
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計画を立てる(ざっくりでOK)
- 優先順位の高いタスクから順に、いつ、どのような時間を使って取り組むか、大まかな計画を立てます。ガチガチの計画でなくても、「午前中はタスクAに集中しよう」「この時間は資料作成にあてよう」といった時間ブロックの確保でも効果があります。
- 複数のタスクを並行して進める場合、タスクの性質(集中力が必要な作業か、定型的な作業かなど)に合わせて、時間帯を区切ることも有効です。
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進捗状況を定期的に確認・報告する
- 計画通りに進んでいるか、定期的に自己確認します。遅れが生じている場合は、その原因を分析し、対策を考えます。
- 進捗状況は、適切に関係者(上司、チームメンバーなど)に報告します。単に「△△まで終わりました」だけでなく、「完了予定は〇〇日です」「現在□□の点で少し手こずっており、もしかすると××に影響が出るかもしれません」のように、今後の見込みや懸念点も含めて報告することで、周囲は状況を正確に把握し、必要であればサポートや指示を出すことができます。これは「報連相に+α」の意識であり、主体的なフォロワーシップの実践です。(「指示待ち卒業!報連相に「+α」を加えて主体的に貢献する方法」も参考にしてください。)
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想定外の事態に対応する
- 業務を進めていると、予期せぬトラブルが発生したり、新しい優先度の高いタスクが割り込んだりすることがあります。
- このような場合も、慌てずに状況を落ち着いて把握し、タスクリストと優先順位を見直します。新しい情報を加えて、もう一度「見える化」と「優先順位判断」のステップを素早く行うのです。
- 優先順位が変わったことや、それに伴う他のタスクへの影響(特に納期)は、速やかに関係者に共有します。
主体的にタスクを進めるということは、一度決めた計画に固執することではなく、状況の変化に合わせて柔軟に、そして責任を持って対応していくことでもあります。
まとめ:主体的なタスク管理はチーム貢献の第一歩
複数のタスクを主体的に管理し、優先順位を見極める能力は、指示待ちから卒業し、チームに貢献できるフォロワーシップを発揮するための重要なスキルです。
まずは、目の前のタスクを全て書き出して「見える化」することから始めてみてください。そして、それぞれのタスクの目的や納期、他のタスクとの関連性を確認し、自分なりに優先順位を考えてみましょう。最初から完璧な優先順位判断ができなくても構いません。重要なのは、「自分で考えて判断する」というプロセスを踏むことです。
判断に迷うとき、不安なときは、必ず周囲に相談してください。ただし、相談する際には、自分なりに考えた内容や困っているポイントを具体的に伝えるように意識しましょう。
主体的なタスク管理は、自身の業務効率を高めるだけでなく、チーム全体の円滑な進行に貢献し、結果として周囲からの信頼を得ることに繋がります。完璧を目指す必要はありません。まずは小さなタスクから、一つずつ主体的に優先順位を考えて取り組む練習を始めてみましょう。その一歩が、指示待ちから卒業し、チームの中でより大きな価値を発揮するための確かな土台となるはずです。