「指示待ち」から「気づき」へ。主体的な問題発見と提案でチームに貢献
はじめに
日々の業務において、任されたタスクを正確にこなすことは非常に重要です。しかし、「指示されたことはできるけれど、次に何をすれば良いか分からない」「もっとチームに貢献したいけれど、どうすれば良いか明確でない」と感じることはないでしょうか。
このような状況から一歩進み、自ら考え、行動を起こすことは、ご自身の成長だけでなく、チーム全体のパフォーマンス向上にも繋がります。特に、周囲がまだ気づいていない課題を発見し、改善策を提案する能力は、主体的なフォロワーシップを発揮する上で非常に価値が高いものです。
この記事では、「指示待ち」の状態から脱却し、「気づき」を行動に変えるための、主体的な問題発見と提案の方法について、具体的なステップを交えながら解説します。
なぜ「指示待ち」から「気づき」への転換が必要か
指示されたことを待つのではなく、自ら課題に気づき、提案を行うことには、いくつかの重要なメリットがあります。
第一に、チームへの貢献度が高まります。指示外の課題に取り組むことで、チーム全体の効率化や品質向上に繋がる可能性があります。これは、チームの一員として積極的に価値を創造するフォロワーシップの実践と言えます。
第二に、ご自身の成長が加速します。課題発見や解決策の検討は、論理的思考力や問題解決能力を養います。また、提案を通じてコミュニケーション能力や影響力を高める機会にもなります。
第三に、仕事へのやりがいやモチベーションが高まります。自ら課題を見つけ、改善に取り組むプロセスは、受動的な働き方では得られない達成感や貢献実感を伴います。
主体的な問題発見のためのステップ
では、どのようにすれば日常業務の中で主体的に課題を発見できるようになるのでしょうか。以下のステップを意識してみましょう。
1. 日々の業務を「観察」する習慣を持つ
与えられたタスクをただこなすだけでなく、そのプロセス全体を観察する視点を持つことが始まりです。「なぜこの手順なのだろう?」「もっと効率の良い方法はないか?」「この情報が足りていないのではないか?」といった疑問を意識的に持つようにします。
2. チーム全体の目標や状況を把握する
ご自身のタスクが、チームやプロジェクト全体の目標達成にどう繋がっているのかを理解します。これにより、自分の業務範囲だけでなく、関連する業務やチームが現在直面している課題が見えやすくなります。定期的なチームミーティングの内容を注意深く聞く、共有されている目標ドキュメントを読むなど、情報収集を怠らないことが重要です。
3. 小さな「違和感」を見過ごさない
「少し手間がかかるな」「これは非効率かもしれないな」「前に似たような問題があったような」といった、些細な違和感や疑問をメモしておきましょう。大きな課題も、最初は小さな違和感から始まることが多いものです。
4. 周囲とのコミュニケーションからヒントを得る
チームメンバーや他部署の方々との informal な会話の中にも、課題のヒントが隠されていることがあります。「〇〇に困っているんだよね」「いつもこの作業に時間がかかるんだ」といった声に耳を傾けることで、共通の課題や改善ニーズが見えてくることがあります。
発見した課題を「提案」に変える方法
課題に気づくだけでなく、それを具体的な提案としてチームに共有することで、あなたの「気づき」はチームの力になります。
1. 課題の背景と影響を整理する
発見した課題がどのような状況で発生し、どのような影響(時間のロス、コスト増、品質低下など)を及ぼしているのかを明確にします。現状を客観的に説明できるよう準備しましょう。
2. 解決策のアイデアを検討する
課題に対する解決策のアイデアをいくつか考えてみます。最初から完璧な解決策である必要はありません。実行可能性や期待される効果なども考慮しながら、実現可能な選択肢を洗い出してみましょう。もしアイデアが浮かばなくても、「この課題に対して、どうすれば改善できるか皆で考えてみませんか?」と問題提起する形でも構いません。
3. 伝えるべき相手とタイミングを見極める
誰に、いつ伝えるべきかを考えます。課題や提案の内容によって、直属の上司、チームリーダー、関係部署の担当者などが適切な相手となります。チームミーティングや1on1ミーティングなど、落ち着いて話ができるタイミングを選びましょう。
4. 建設的な伝え方を意識する
提案する際は、課題の原因を責めるような言い方ではなく、あくまでも「より良くするため」という前向きな姿勢で伝えましょう。 例えば、
「現在の〇〇の作業は、△△という理由で□□のような課題があると感じています。もし可能であれば、~といった方法で改善できるのではないかと考えたのですが、皆様のご意見をいただけますでしょうか。」
のように、課題の事実、考えられる影響、そして改善に向けた提案(または問いかけ)をセットで伝えると、建設的な議論に繋がりやすくなります。これは、以前の記事でも触れた「報連相+α」の「+α」(自分なりの考察や提案)を、課題発見の場合に応用する考え方です。
最初の一歩を踏み出すためのヒント
主体的な問題発見や提案は、慣れないうちは難しく感じるかもしれません。しかし、小さく始めることから慣れていくことが大切です。
- 完璧を目指さない: 最初から大きな課題を見つけたり、画期的な解決策を考えたりする必要はありません。日々の業務で感じる小さな不便や非効率に気づき、それをチーム内で共有することから始めてみましょう。
- フィードバックを恐れない: 提案に対するフィードバックは、内容を改善し、ご自身の学びを深めるための貴重な機会です。すぐに採用されなくても落ち込まず、次に活かす姿勢が重要です。
- チームの反応を見る: チームがどのような課題に関心があるか、どのような提案が受け入れられやすいかなどを観察することも学びになります。
- 成功体験を積み重ねる: 小さな提案でも受け入れられたり、改善に繋がったりすれば、それは大きな成功体験になります。その積み重ねが、次へのモチベーションになります。
まとめ
「指示待ち」の状態から脱却し、主体的にチームに貢献するための一歩として、日常業務の中での「問題発見」と、それに対する「提案」は非常に有効なアプローチです。
そのためには、ただタスクをこなすだけでなく、業務プロセスやチーム全体の状況を観察する習慣を持ち、小さな違和感や周囲の声に耳を傾けることが重要です。そして、発見した課題は、背景や影響を整理し、改善のアイデアを添えて建設的にチームに共有しましょう。
最初から大きな成果を出そうと気負う必要はありません。まずは日々の「気づき」を大切にし、小さなことから行動に移してみてください。あなたの主体的な働きかけは、必ずやチームに良い影響を与え、ご自身の成長にも繋がるはずです。