指示を待つ前に予測して動く!先回りするフォロワーシップの実践
はじめに
日々の業務で、上司や先輩からの指示を待ってから行動することに慣れている方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、指示を正確に理解し実行することはビジネスの基本であり、非常に重要です。しかし、「次に何をすれば良いのか」「自分から何かできることはないか」と考える際に、指示を待つ時間が発生してしまうこともあるかと思います。
特にチームで仕事を進める上で、一人ひとりが次に必要になることを予測し、先回りして動くことができると、チーム全体のスピードが上がり、よりスムーズに目標達成に繋がる場合があります。これは、主体的なフォロワーシップを発揮する一つの形です。
この記事では、指示を待つ前に予測して行動する「先回りするフォロワーシップ」について掘り下げ、若手ビジネスパーソンでも今日から実践できる具体的な考え方やステップをご紹介します。
「先回りするフォロワーシップ」とは何か?
「先回りするフォロワーシップ」とは、単に指示をこなすだけでなく、チームやプロジェクトの状況、あるいは周囲のメンバーの動きを観察し、次に必要になるであろうことや、発生しうる課題を予測して、自律的に行動する姿勢を指します。
これは決して、独断で大きな判断を下したり、指示されていない無関係なタスクに着手したりすることではありません。チームの目標達成という共通認識のもと、自分の役割やタスクに関連する範囲で、次に何が必要になるか、どうすればチームの負担を減らせるかを予測し、準備したり、関連情報を提供したり、小さな行動を起こしたりすることです。
このような予測的な行動は、特に変化の多いITエンジニアの現場などでは、状況の変化に素早く対応し、手戻りを減らし、生産性を向上させる上で非常に有効です。
なぜ若手ビジネスパーソンが「先回りするフォロワーシップ」を実践すべきなのか
社会人経験が浅いうちは、まだ業務全体の流れやチームの動きが見えにくいと感じるかもしれません。しかし、だからこそ「先回り」の視点を持つことが、以下のような点で重要になります。
- チームの生産性向上に貢献できる: 指示を待つ時間を減らし、次に必要な準備や情報提供をすることで、チーム全体の進行をスムーズにできます。
- 自身の成長を加速させる: 予測するためには、業務全体の流れや関連知識を理解しようと努める必要があります。この過程で、自然と学びが深まります。また、予測が当たった経験や、予測に基づいた行動が成果に繋がった経験は、自信とモチベーションを高めます。
- 周囲からの信頼を得られる: 「この人は言われる前に気づいて動いてくれる」という評価は、あなたの信頼性を高め、より重要な仕事を任される機会に繋がる可能性があります。
- 「指示待ち」の状態から脱却できる: 自ら考え、予測し、行動するというサイクルは、受動的な働き方から能動的な働き方への転換を促します。
今日から始める「先回りするフォロワーシップ」具体的な実践ステップ
では、具体的にどのように予測し、行動すれば良いのでしょうか。いくつかステップをご紹介します。
ステップ1:チームやプロジェクトの全体像に関心を持つ
自分の担当タスクだけではなく、プロジェクト全体の目的、現在のフェーズ、チームメンバーそれぞれの役割、そして最終的な目標達成までの道のりに関心を持ちましょう。
- 具体的な行動例:
- プロジェクト計画書や仕様書、議事録などに目を通す習慣をつける。
- チームの定例会や情報共有の場で、自分の担当以外の進捗や課題にも耳を傾ける。
- 「なぜこのタスクが必要なのか」「このタスクはプロジェクト全体のどの部分に繋がるのか」といった背景や目的を理解しようと努める。
全体像が見えると、「このタスクが終わったら、次は〇〇さんが××の作業に取りかかるから、そのために必要な△△を準備しておくと良いかもしれない」といった予測がしやすくなります。
ステップ2:自分のタスクの「次」と「影響」を常に意識する
自分が担当しているタスクが完了した後、次に何が起こるか、そして自分のタスクの成果が他の誰の、どのような作業に影響を与えるかを具体的に考えます。
- 具体的な行動例:
- タスク完了後、次にその情報や成果物を使うであろうメンバーに、完了報告と合わせて「この情報が必要になりそうでしたらお使いください」「〇〇について懸念点はないでしょうか」のように一言添える。
- 自分の作業中に見つかった小さな課題や考慮事項が、後工程で問題にならないかを考え、必要であれば早めに共有する。
- 「このデータ形式で渡せば、次の担当者はスムーズに作業できるだろうか?」といったように、受け取る側の視点に立って考える。
ステップ3:先輩やリーダーの「思考パターン」を観察する
上司や経験豊富な先輩が、どのような視点で物事を捉え、どのように判断しているかを観察することは、予測力を養う上で非常に有効です。
- 具体的な行動例:
- 会議や打ち合わせで、上司や先輩がどのような質問をするか、どのような点に注意を払っているかに注目する。
- タスクの指示を受ける際に、「なぜこの方法なのか」「他にどのような選択肢があるのか」といった背景を質問してみる。
- 過去のプロジェクトで発生した課題や、その際にどのように対応したかを学び、次に似た状況が発生した際に予測する材料とする。
ステップ4:積極的に質問し、情報を集める
予測するためには情報が不可欠です。分からないことをそのままにせず、積極的に質問して情報を集める姿勢が大切です。
- 具体的な行動例:
- 曖昧な点や疑問点は、早めに確認する。「おそらくこうだろう」と推測だけで進めない。
- 関連部署や他のチームの動きで、自分のタスクに影響がありそうな情報をキャッチアップする。
- 定期的にチームメンバーと非公式に会話する機会を持ち、状況把握に努める。
ステップ5:小さな「もしも」を考え、準備する
「もし〇〇だったら、次に何が必要になるか?」「この進め方だと、△△のリスクはないか?」のように、起こりうる可能性をいくつか想定してみる習慣をつけます。
- 具体的な行動例:
- 資料作成時に、想定される質問への回答や補足情報をあらかじめ準備しておく。
- タスクの完了が予定より遅れる可能性を考え、関係者への早期共有の方法を検討しておく。
- 使用するツールや環境にトラブルが発生した場合の代替策を頭の片隅に置いておく。
最初は難しいと感じるかもしれませんが、小さなことから始めてみてください。例えば、会議前に「今日は〇〇について話すから、関連資料をすぐ出せるようにしておこう」と準備するだけでも、立派な先回り行動です。
先回りするフォロワーシップで得られる効果
このような予測に基づいた先回り行動は、チームに貢献するだけでなく、あなた自身の成長にも繋がります。
-
チームにとって:
- タスクの停滞が減り、スムーズな進行に繋がる。
- 潜在的な課題やリスクの早期発見・対応が可能になる。
- コミュニケーションの質が向上し、情報伝達漏れが減少する。
- チーム全体の連帯感や信頼関係が深まる。
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あなた自身にとって:
- 業務全体の理解が深まる。
- 問題解決能力や段取り力が向上する。
- 自信を持って仕事に取り組めるようになる。
- 上司やチームメンバーからの信頼と評価が高まる。
- 「指示待ち」という受動的な姿勢から脱却し、仕事への主体的な関与を実感できる。
まとめ
指示を待つ前に予測して動く「先回りするフォロワーシップ」は、若手ビジネスパーソンが指示待ちから卒業し、チームに主体的に貢献するための強力なスキルです。最初から完璧を目指す必要はありません。まずは、自分のタスクの「次」を意識することや、チームの会話に耳を傾けることから始めてみましょう。
チームの全体像に関心を持ち、自分のタスクが他の人に与える影響を考え、積極的に情報を集める。そして、小さな「もしも」を想定して準備する。これらの積み重ねが、あなたの予測力を高め、自然と先回りした行動に繋がります。
主体的に一歩を踏み出すことは、あなたの可能性を広げ、より充実したビジネスライフを送ることに繋がるはずです。今日から、目の前のタスクだけでなく、その一歩先、そしてチーム全体の動きにも目を向けてみませんか。