主体性はじめの一歩

プロジェクト遅延やトラブル回避へ貢献!主体的なリスク・課題早期発見と共有

Tags: フォロワーシップ, 主体性, プロジェクト管理, リスク管理, 課題発見, チーム貢献, 報連相

プロジェクトの進行中、「あれ、このままだとまずいかも」「なんとなく不安だな」と感じた経験はないでしょうか。しかし、それが明確な問題として認識されていない場合、どのように動けば良いのか迷ってしまうこともあるかもしれません。指示されたタスクをこなすことに集中していると、周囲で起こりうる潜在的なリスクや課題を見過ごしてしまうことがあります。

しかし、こうした「なんとなくの不安」や「小さな兆候」に気づき、早期にチームに共有し、必要に応じて対策を提案することは、プロジェクトを成功に導く上で非常に重要な役割を果たします。これはまさに、指示を待つのではなく、チーム全体の目標達成に向けて能動的に関わる「主体的なフォロワーシップ」の一つの形です。

本記事では、プロジェクトの遅延やトラブルを未然に防ぐために、若手ビジネスパーソンが主体的にリスクや課題を早期に発見・共有し、チームに貢献するための具体的な考え方やステップをご紹介します。

なぜ主体的なリスク・課題の早期発見・共有が重要なのか

プロジェクトは計画通りに進むとは限りません。予期せぬ問題や変更はつきものです。これらのリスクや課題は、発見が遅れるほど影響が大きくなり、対応にかかるコストや時間も増大します。最悪の場合、プロジェクトの遅延や失敗に繋がる可能性もあります。

リーダーやマネージャーは全体の進行管理を行っていますが、プロジェクトの細部に潜むリスクや、現場レベルでしか気づけない課題も多く存在します。チームメンバー一人ひとりが、自身の担当範囲だけでなく、プロジェクト全体の状況に関心を持ち、潜在的な問題の兆候に気づき、早期に共有することができれば、チームとして迅速に対策を講じることが可能になります。これは、受動的に指示を待つだけでは難しい、主体的な関わり方から生まれる価値です。

主体的なリスク・課題発見のための視点と習慣

では、具体的にどのようにすればリスクや課題を早期に発見できるようになるのでしょうか。まずは、日々の業務に対する視点を少し広げ、いくつかの習慣を意識することから始めましょう。

  1. 自分のタスクの「次」と「関連」を考える: 指示されたタスクを完了したら、それで終わり、ではありません。そのタスクの完了が、プロジェクト全体のどの部分に影響し、次に誰が何を必要とするのかを考えてみましょう。また、自分のタスクが他のメンバーのタスクやプロジェクトの別の側面とどのように関連しているのかを理解しようと努めます。この繋がりを意識することで、自身の作業の遅れが全体に与える影響や、他の部分で発生した問題が自分のタスクに影響する可能性に気づきやすくなります。

  2. プロジェクトに関する情報を能動的に確認する: 会議の議事録、チームチャットのログ、課題管理ツールの状況などを、自分の担当箇所だけでなく、広く確認する習慣をつけます。他のメンバーが進めているタスクの状況、決定された事項、議論されている内容に関心を持つことで、全体の進捗状況や潜在的なボトルネック、懸念事項の兆候を早期に捉えることができます。

  3. 「なぜ?」と疑問を持つ: 仕様や手順、決定されたことに対して、ただ受け入れるだけでなく、「なぜこのようになっているのだろう?」「こうすると、どこかに影響はないだろうか?」と問いを持つ姿勢は重要です。背景や目的を深く理解しようとすることで、矛盾点や考慮漏れ、非効率な点に気づくことがあります。

  4. 過去の経験や知識を活かす: 過去に経験した類似のプロジェクトでの失敗事例や、学習した技術的な知識、あるいは他社事例などを思い出すことも有効です。「前にもこういう時に問題が起こったな」「このやり方は、こういうケースではリスクがあると言われているな」といった視点は、現在進行中のプロジェクトにおける潜在的なリスクを識別するヒントになります。

発見したリスク・課題を効果的に共有する方法

潜在的なリスクや課題に気づいたら、それをチーム内で適切に共有することが、主体的なフォロワーシップの実践です。どのように共有すれば、チームとして動きやすくなるでしょうか。

  1. 「懸念点」として早めに伝える: まだ確定した問題ではなくても、「こういう状況から、Aのようなリスクが考えられます」「Bという点が少し気になっています」といった「懸念点」として、早めに共有することが重要です。問題が大きくなってから報告するよりも、早期に懸念を伝えることで、チームは先手を打って情報収集や対策の検討を開始できます。

  2. 具体的な根拠と予測される影響を添える: 単に「不安です」と伝えるのではなく、「〇〇のデータによると、▲▲という傾向が見られるため、現在の計画通りに進むとXXの期間内に仕様△△の実装が間に合わないリスクが考えられます」のように、気づきの根拠となる事実や状況と、それによってプロジェクトにどのような影響(例: スケジュール遅延、品質低下、手戻り発生など)が予測されるのかをセットで具体的に伝えます。

  3. 可能であれば解決策や代替案を提案する(報連相+α): 懸念点を伝えるだけでなく、「このリスクに対して、□□のような対策が考えられますがいかがでしょうか」「代替案として、△△の進め方も可能かもしれません」のように、自身で考えられる解決策や代替案を添えて報告することで、議論を建設的に進めることができます。これは、「報告・連絡・相談」に自身の考察や提案を加える「報連相+α」の実践であり、主体性を示す行動です。

  4. 適切な相手とタイミングを選ぶ: 発見したリスクや課題の性質に応じて、誰に、いつ伝えるのが最も効果的か判断します。例えば、特定のタスクに関する技術的な懸念であれば担当リーダーや詳しいメンバーに、プロジェクト全体のスケジュールに関わるリスクであればプロジェクトマネージャーやチーム全体に、といったように、伝える相手を選びます。また、定例会議や朝会など、チームで情報共有を行う場を活用することも効果的です。

  5. 伝えるツールを活用する: チャットで速報的に伝える、課題管理ツールに登録して可視化する、定例会議で議題として取り上げるなど、状況や内容に応じて適切なツールや方法を活用し、情報がチーム全体に共有されるように努めます。

主体的なリスク・課題管理がもたらすもの

主体的にリスクや課題の早期発見・共有に取り組むことは、自身の成長にも繋がります。プロジェクト全体を俯瞰する視点が養われ、問題解決能力やコミュニケーション能力が向上します。そして何より、チームの一員としてプロジェクトの成功に貢献しているという実感が得られ、自身の仕事へのモチベーションやエンゲージメントを高めることにも繋がるでしょう。

まとめ:今日からできる一歩を踏み出そう

指示されたことだけを正確にこなすことも重要ですが、それだけでは見えないプロジェクトの「死角」が存在します。若手ビジネスパーソンだからこそ気づける小さな兆候や、現場の感覚で感じる違和感があるはずです。

プロジェクトの遅延やトラブル回避への貢献は、特別なスキルがなくても、日々の業務への向き合い方や、少しの意識変化で始めることができます。

これらの小さな一歩が、あなたの主体性を育み、チームへの貢献度を高め、やがてあなた自身の大きな成長へと繋がっていきます。ぜひ、今日から意識して取り組んでみてください。