「自分の仕事」を深掘り!役割理解から始める主体的なフォロワーシップ
社会人として経験を積み重ねる中で、「指示されたことはできるけれど、それ以上のことにどう取り組めば良いか分からない」「自分の仕事の範囲が曖昧で、どこまで主体的に動いて良いか迷う」と感じることは少なくないでしょう。特にチームの一員として働く上で、単に与えられたタスクをこなすだけでなく、主体的にチームへ貢献したいと考える時、まず立ち返るべき起点が「自分の役割」の理解です。
この記事では、自身の役割を深く理解することがなぜ主体的なフォロワーシップに繋がり、どのようにチームへの貢献を高めるのかを解説します。そして、役割理解に基づいた具体的な行動ステップと、明日から実践できるヒントをご紹介します。
なぜ役割理解が主体的なフォロワーシップに繋がるのか
主体的なフォロワーシップとは、リーダーを効果的に支え、チーム全体の目標達成に向けて自律的に貢献する姿勢や行動を指します。このフォロワーシップを発揮する上で、自身の「役割」を明確に理解することは非常に重要です。
指示されたタスクだけを見ていると、視野が狭まりがちです。しかし、自分がチームやプロジェクトの中でどのような役割を担っており、その役割を通じてどのような価値提供を期待されているのかを理解することで、単なるタスク消化を超えた視点を持つことができます。
自分の役割が明確になれば、次のようなメリットが生まれます。
- 行動の目的が明確になる: なぜそのタスクが必要なのか、その結果がチーム全体にどう影響するのかを理解できます。
- 貢献の機会が見えやすくなる: 自身の役割の範囲内で、さらに効率化できること、品質を高められること、あるいは他のメンバーをサポートできる点に気づきやすくなります。
- 自律的な判断基準ができる: 指示を待たずとも、自分の役割に基づき、次に何をすべきか、何がチームにとって有益かを判断しやすくなります。
役割理解は、主体性を発揮するための土台となるのです。
自分の「役割」を具体的に把握する方法
では、自身の役割を具体的に把握するためには、どのようなアプローチがあるでしょうか。
明示されている役割を確認する
まず、入社時の職務記述書や、プロジェクト参加時にアサインされた役割定義を確認します。契約上、あるいは公式にどのような責任や業務範囲が定められているかを知ることは基本です。
暗黙的な期待を理解する
しかし、実際の職務は明示的な役割だけではありません。チームやプロジェクトの状況に応じて、あるいは自身のスキルや経験に応じて、暗黙的に期待されている役割がある場合も少なくありません。
- 上司やリーダーとの対話: 定期的な1on1などの機会を活用し、自身に期待されていること、チーム内での役割について積極的に質問してみましょう。
- チームメンバーとの連携: 他のメンバーが自分に何を求めているか、どのような時に助けを求めてくるかなどを観察することもヒントになります。
- 過去の成功・失敗事例の分析: 自分が関わった業務でどのような成果が評価されたか、あるいはどのような課題が発生したかを振り返り、自身の役割遂行における強みや改善点を見出します。
チーム全体の目標と自身の立ち位置を関連付ける
自身の役割は、チーム全体の目標達成の一部です。チームが目指すゴールは何で、その中で自分の担当業務がどのように貢献するのかを理解することも重要です。会議での決定事項やプロジェクト計画などを確認し、自分の役割がパズルのどのピースに当たるのかを把握しましょう。これにより、自分の業務の優先順位や重要性を主体的に判断できるようになります。
役割理解に基づいた主体的な行動ステップ
自身の役割を理解したら、次はその理解を具体的な主体的な行動に繋げていきます。
ステップ1: 役割の範囲内で「より良く」を追求する
指示されたタスクをこなす際に、「なぜこれをやるのか」「もっと効率的な方法はないか」「成果物の質をさらに高めるにはどうすれば良いか」といった視点を持って取り組みます。これは、与えられた役割の中で最大限の価値を発揮しようとする主体性の表れです。
例えば、議事録作成が役割の一部であれば、単に発言内容を記録するだけでなく、決定事項やネクストアクションを明確に整理したり、未決定事項を分かりやすくハイライトしたりするなど、「より良く」するための工夫を凝らすことができます。
ステップ2: 役割に関連する課題や改善点に気づき、行動する
自身の役割範囲やその周辺で、非効率なプロセスや潜在的な課題に気づくアンテナを張ります。気づいたことについては、単に問題を指摘するだけでなく、「こうした方が良いかもしれません」「このような情報があれば、もっとスムーズに進められそうです」といった形で、改善策や必要な情報を添えて共有・提案します。
これは「報連相+α」の考え方にも通じます。単なる状況報告ではなく、自身の役割を踏まえた上での所感や次のアクションの提案を加えることで、より主体的な貢献となります。
ステップ3: 役割の境界を意識しつつ、チームに貢献する
自分の役割に集中することは重要ですが、チームとして動く以上、他のメンバーとの連携やサポートも不可欠です。自身の役割で得た知見を積極的に共有したり、他のメンバーが困っていることに気づいたら、自身の役割と関連する範囲でサポートを申し出たりします。
例えば、自身が担当している機能開発で得た技術的な知見を、関連する機能を担当するメンバーに共有したり、テストが遅れているチームメイトがいれば、自身の開発タスクの進捗を見ながらサポートできる部分がないか確認したりすることが考えられます。これは、自身の役割を起点としつつ、チーム全体の成功に目を向ける主体的なフォロワーシップの実践です。
役割を広げ、主体性を高めるコミュニケーション
主体的なフォロワーシップを発揮し、自身の役割をより効果的に遂行し、さらには広げていくためには、周囲とのコミュニケーションが鍵となります。
自身の仕事に対する考えや、気づいた課題、改善のアイデアなどを、適切なタイミングで上司やチームメンバーに伝える勇気を持ちましょう。すべての提案が採用されるわけではないとしても、主体的に考え、チームに貢献しようとする姿勢は必ず伝わります。
また、上司からのフィードバックを真摯に受け止め、自身の役割遂行や主体的な行動に活かすことも重要です。期待とのずれがあれば修正し、評価された点はさらに伸ばしていくことで、自身の役割の中でさらに大きな貢献が可能になります。
まとめ
指示待ちの状態から脱却し、主体的なフォロワーシップを発揮するための第一歩は、自身の「役割」を深く理解することです。自分がチームやプロジェクトにおいてどのようなポジションにおり、何を期待されているのかを明確にすることで、単なるタスク消化ではなく、目的意識を持った貢献が可能になります。
役割理解は、明示された情報だけでなく、上司や同僚との対話、そして自身の経験からの学びを通じて深めることができます。そして、その理解に基づき、「より良くできないか」と考える、課題に気づき提案する、チームに協力的に関わる、といった具体的なステップを踏み出すことが、主体的な行動の実践です。
今日からでも始められる一歩として、自身の現在の役割について改めて考えてみましょう。そして、その役割の中で、少しだけ「指示通り」を超えて、主体的に改善や貢献ができる点はないかを探してみてください。役割を深く理解し、主体的に働きかけることで、あなたの仕事はより充実し、チームからの信頼も高まっていくはずです。