「これって無駄かも?」日々の小さな改善活動で発揮するフォロワーシップ
はじめに
あなたは日々の業務において、「指示されたことは正確にこなせるけれど、それ以上の動き方が分からない」「もっとチームに貢献したいけれど、具体的に何をすれば良いか不明瞭」と感じることはありませんか。与えられたタスクを完了させることはもちろん重要ですが、さらに一歩進んで、自分からチームに良い影響を与えるにはどうすれば良いのでしょうか。
主体的なフォロワーシップは、単に指示を待つだけでなく、チームの目標達成に向けて自ら考え、行動し、貢献する姿勢です。その一環として、日々の業務の中に潜む「小さな無駄」に気づき、改善を試みる活動は非常に有効です。
この記事では、「これって無駄かも?」という日常の気づきから始まる小さな改善活動が、どのように主体性やフォロワーシップに繋がり、最終的にチームへの貢献となるのかを解説します。そして、今日から始められる具体的なステップをご紹介します。
なぜ「小さな改善活動」が主体性・フォロワーシップに繋がるのか
指示された業務をこなすことだけに終始していると、どうしても受け身の姿勢になりがちです。一方、業務の「やり方」や「流れ」に意識を向け、「もっと効率的にできないか」「この手間は本当に必要か」と考えることは、業務への主体的な関与そのものです。
日々の小さな改善活動は、以下の点で主体性やフォロワーシップの発揮に繋がります。
- 問題意識の醸成: 業務の中に潜む非効率や課題に気づく習慣は、主体的な問題発見能力を養います。
- 課題解決能力の向上: 改善策を考え、実行し、その効果を検証するプロセスは、実践的な課題解決能力を高めます。
- チームへの貢献: 無駄をなくすことで、自分だけでなくチーム全体の時間や労力を節約できます。これは、チームの生産性向上という形で直接的な貢献となります。
- 信頼関係の構築: 改善の提案や実行を通じて、「この人は周りを良くしようと考えている」「自ら動ける」という信頼を得やすくなります。
- 自己成長の実感: 自分の手で業務が少しでも改善される経験は、貢献実感や自己肯定感を高め、さらなる主体的な行動へのモチベーションとなります。
大きな改革である必要はありません。身近な小さな「無駄」に目を向けることから全ては始まります。
「これって無駄かも?」に気づく視点
では、具体的にどのような点に注意すれば、日々の業務に潜む「小さな無駄」に気づけるのでしょうか。
- ルーチンワークを疑う: 「いつもこうしているから」と無意識に行っている手順に意識を向けます。例えば、
- 毎回手入力している定型的な情報は、何か別の方法で自動化できないか?
- 複数のファイルを開いて情報を参照しているが、一つにまとめられないか?
- 特定の連絡にいつも時間がかかっているのはなぜか? といった視点です。
- 「待ち時間」に注目する: 自分の作業が、他の人からの情報や承認待ちでストップすることはよくあります。しかし、
- その待ち時間を短縮するための情報共有の工夫はできないか?
- 待ち時間中に、次に必要になるであろう情報を先んじて準備できないか? と考えることができます。
- 情報の「探しにくさ」に気づく: 必要な情報が見つからず、探すのに時間がかかることはありませんか。
- 特定の情報が頻繁に必要なら、ブックマークやショートカットを活用できないか?
- チーム内で共通して使う情報なのに、保存場所がバラバラになっていないか?
- ファイル名やフォルダの整理ルールを決める必要はないか? といった問題提起が改善に繋がります。
- 繰り返し発生する小さな手間に目を向ける: 一回あたりの手間は小さくても、毎日、あるいは何度も繰り返すことで無視できない時間や労力になることがあります。
- メール作成時の署名や挨拶文の挿入。
- よく使うツールやウェブサイトへのアクセス。
- 簡単なデータ集計や転記作業。 こうした手間に「何か工夫できないか」と意識を向けてみましょう。
- チームメンバーの様子を観察する: 自分だけでなく、チームの他のメンバーが同様の作業で困っていたり、非効率な手順を踏んでいたりすることに気づくこともあります。これはチーム全体の改善のヒントになります。
小さな改善活動を始める具体的なステップ
「これって無駄かも?」に気づいたら、次はその改善に向けて行動を起こしてみましょう。以下のステップで進めるのがおすすめです。
ステップ1:小さな無駄を一つ特定する まずは、日々の業務の中で「少し手間がかかるな」「非効率かもしれないな」と感じることをリストアップしてみます。その中から、最も身近で、かつ自分一人、あるいは最小限の相談で改善に着手できそうなものを一つ選びます。あれもこれもと手を出さず、一つに集中することが成功の鍵です。
ステップ2:原因をシンプルに考える なぜその無駄が発生しているのか、根本的な原因を深く掘り下げる必要はありません。まずは、どんな状況で、どのような手順を踏むときに発生するのかを整理してみましょう。例えば、「〇〇の情報を探すとき、ファイルサーバー内の複数のフォルダを開く必要があり、時間がかかる」といったように、具体的な状況を言語化します。
ステップ3:簡単な改善策を考える 大きなシステム導入や組織変更を伴うような大規模な対策ではなく、今日からでも試せる「小さな工夫」を考えます。 * 例:ファイルサーバー内のよく使うフォルダへのショートカットを作成する、検索性の高いフォルダ名を検討する、必要な情報へのリンク集を個人用メモとして作成する。 * 例:よく使うメールの定型文を辞書登録やテンプレートとして保存する。 * 例:簡単な集計作業を、Excelの関数やマクロで自動化できないか調べる。 * 例:複数のタスクの進捗を一覧できるシンプルなチェックリストやカンバンを作成する。
ステップ4:まずは試してみる 考えた改善策を、まずは自分自身で試してみます。もし、その改善が他のメンバーやシステムに影響を与える可能性がある場合は、必ず事前に上司や関係者に相談・共有してください。独断で業務プロセスを変更すると、思わぬトラブルを招く可能性があります。相談する際も、「〇〇という無駄に気づき、改善のために△△を試してみたいのですが、問題ないでしょうか?」のように、課題と改善策、試したい内容を明確に伝えるように心がけましょう。
ステップ5:効果を確認し、共有する 改善策を試した結果、どのくらい手間や時間が削減できたか、仕事がスムーズになったかを観察します。数値で測れる場合は記録しておくと良いでしょう。もし効果があった場合は、ぜひチームメンバーに共有してみてください。「この改善を試した結果、〇〇の時間が△分短縮できました。もしよろしければ皆さんも試してみませんか?」のように、具体的な効果と共に提案することで、チーム全体の改善に繋がります。これが、フォロワーシップによる貢献の実践です。
改善活動を進める上での注意点
- 完璧を目指さない: 最初から完璧な改善を目指す必要はありません。「現状より少しでも良くする」という意識が大切です。小さな一歩が積み重なることで、大きな変化に繋がります。
- 関係者との連携: 前述の通り、自分以外の誰かに影響がある可能性のある改善を行う際は、必ず事前に相談・共有を行いましょう。報連相の原則を忘れず、適切なコミュニケーションを取ることが円滑なフォロワーシップに繋がります。
- 失敗を恐れない: 試した改善策が期待した効果を上げなかったり、新たな課題を生んだりすることもあるかもしれません。しかし、その試行錯誤のプロセス自体が学びとなります。失敗から原因を分析し、次の改善に活かす姿勢が重要です。
- 自分の業務範囲から始める: いきなりチーム全体の大きな課題に挑むのではなく、まずは自分の日々の業務の中で完結できる範囲の小さな改善から始めるのが、リスクも少なく取り組みやすい方法です。
まとめ
指示された業務を正確にこなすだけでなく、日々の業務の中に潜む「小さな無駄」に気づき、それを改善しようと主体的に行動することは、若手ビジネスパーソンがフォロワーシップを発揮し、チームに貢献するための有効な一歩です。
「これって無駄かも?」という日常の疑問を大切にし、業務フローへの意識を向け、簡単な改善策を考え、そしてまず試してみること。その小さな積み重ねが、あなたの主体性を育み、チームからの信頼を得ることに繋がります。
今日から、あなたの「これはこうで良いのかな?」という気づきを、チームへの貢献に繋げる「小さな改善活動」として実践してみてはいかがでしょうか。