「何も言わない」を卒業!自分の考えをチームに伝えるフォロワーシップ
あなたは日々の業務で、「これはこうした方が良いのでは?」「この点、少し分かりにくいな」と感じることがありますか?そして、その考えや疑問をチームメンバーや上司に伝えることをためらってしまうことはないでしょうか。
指示されたタスクを正確にこなすことは、ビジネスパーソンにとって非常に重要なスキルです。しかし、「指示待ち」の状態から一歩進み、主体的なフォロワーシップを発揮するためには、単に言われたことだけを行うのではなく、自分の内側から生まれる考えや気づきをチームに共有することが欠かせません。
この記事では、「何も言わない」状態から脱却し、自分の考えをチームに伝えることがなぜ重要なのか、そしてそのための具体的な第一歩について、フォロワーシップの観点からご説明します。
なぜ自分の考えをチームに伝える必要があるのか?
「まだ経験が浅い自分が何か言っても、的外れかもしれない」「会議の時間を取らせてしまうのではないか」といった不安から、自分の考えを内に留めてしまう気持ちはよく理解できます。しかし、あなたの考えや気づきは、チームにとって貴重な情報となる可能性があります。
- チームの課題解決に貢献できる: あなたが感じた疑問や非効率な点は、他のメンバーも同様に感じていたり、あるいは誰も気づいていなかったりする可能性があります。それを共有することで、チーム全体で課題に取り組み、解決に繋げることができます。
- 新しいアイデアや改善のきっかけになる: あなたの視点からの提案は、既存の方法にはない新しいアプローチを生み出すことがあります。それが小さな改善であっても、積み重なることでチームの生産性向上に貢献します。
- チーム内の理解が深まる: 自分が抱える疑問を共有することで、他のメンバーからの補足説明や異なる視点が得られ、あなた自身の業務理解が深まります。同時に、他のメンバーもあなたの疑問を知ることで、共通理解を深める機会となります。
- 自身の成長に繋がる: 自分の考えを言葉にして伝えるプロセスは、物事を論理的に整理し、分かりやすく説明するスキルを磨く良い機会です。また、周囲からのフィードバックを得ることで、さらに深く考えるきっかけにもなります。
- フォロワーシップの発揮: 自分の考えを伝えることは、リーダーやチームの意思決定をサポートする行為です。多様な意見や情報をチーム内に循環させることで、より質の高い意思決定が可能になり、結果としてチーム全体の成功に貢献できます。これこそが、指示を待つだけでなく自らチームに関与する、主体的なフォロワーシップの重要な側面です。
自分の考えを伝えることへの心理的なハードルを下げる第一歩
「何も言わない」状態から「伝える」状態へ移行するには、心理的なハードルがあるかもしれません。完璧な提案や鋭い指摘をする必要はありません。まずは小さな一歩から始めてみましょう。
- まずは「質問」のカタチで始めてみる: 最初から「こうすべきです」と提案するのではなく、「〜はどうなっているのでしょうか?」「これについて、もう少し詳しく教えていただけますか?」のように、疑問を投げかけることから始められます。これは「知りたい」という姿勢を示すものであり、相手も受け止めやすい傾向があります。
- 疑問や気づきをメモする習慣をつける: 日々の業務の中で、「ん?」と思ったことや、「こうしたらどうなるだろう?」と考えたことを、すぐにメモしておきましょう。後で見返したときに、それを伝えるべき情報か、あるいは自分で少し調べれば解決することなのかを判断できます。
- 伝える相手とタイミングを考えてみる: 全体会議で発言するのが難しければ、まずは1対1のカジュアルな会話で、特定のチームメンバーや直属の上司に話してみるのも良い方法です。相手の状況(忙しそうか、話を聞いてくれそうかなど)を見て、適切なタイミングを選びましょう。
- 完璧を目指さない:「たたき台」や「可能性」として提示する: 自分の考えが完全にまとまっていなくても、「現時点での考えなのですが」「〜という可能性もあるかと思いまして」のように、未完成であることを前提に共有する姿勢も大切です。これは、チームメンバーと一緒に考えを深めていくための「たたき台」を提示するフォロワーシップの実践とも言えます。
- 事実と推測・意見を区別して伝える: 例えば、「Aという問題が発生しました(事実)」と「これはおそらくBが原因だと思います(推測)」や、「Cという対応が必要ではないでしょうか(意見)」のように、自分がどこまでを客観的な事実として認識し、どこからが自分の解釈や考えなのかを明確に伝えると、相手はあなたの発言の意図を正確に理解しやすくなります。
フォロワーシップとしての「伝える」実践
自分の考えを伝える行為は、チームにおけるフォロワーシップを具体的に実践することに繋がります。それは、リーダーの指示を待つだけでなく、チームの課題解決や目標達成に向けて自律的に貢献しようとする姿勢の表れです。
例えば、あなたが業務中に感じた小さな非効率について、「このツールを使うと、この作業時間を短縮できるかもしれません」と提案することは、チーム全体の生産性向上に貢献するフォロワーシップです。また、仕様書を読んでいて疑問に思った点を質問することは、チーム全体の仕様理解を深め、将来的な手戻りを防ぐことに貢献するフォロワーシップと言えます。
まとめ
「何も言わない」状態から一歩踏み出し、自分の考えをチームに伝えることは、主体的なフォロワーシップを発揮するための重要なステップです。最初は難しく感じるかもしれませんが、「完璧である必要はない」「まずは質問から」「伝える相手やタイミングを考える」といった小さな工夫から始めることができます。
あなたの視点や気づきは、チームにとって想像以上に価値のある情報かもしれません。勇気を出して発信することで、チームへの貢献を実感できるだけでなく、あなた自身の成長も加速します。
今日から、業務中に少しでも「ん?」と思ったり、「こうしたらどうなるだろう?」と考えたりしたことを、小さくても良いので誰かに伝えてみることから始めてみましょう。その一歩が、指示待ちから卒業し、チームを内側から支えるフォロワーシップの実践へと繋がっていきます。